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(もういち……)
「十分よ」
ちぇっ――私が今度はディープな奴を狙ってウサギっこに迫ったら、すぐさま離れられてしまった。まさかあれだけで理解したの? 私が何をやったのかというと、キスを介して知識をあげたのだ。アクトパラスやゼンマイもアーミュラに神のマニュアル的なものを伝授されてた。なのでそれらしい知識を私もウサギっこにあげたのだ。まあ今回はそういう神としてのルールなんかよりももっと実践的な事を私は伝えたつもりだ。それに……ちょっと私自身がウサギっこに干渉をしてその力の流れを整えたのもある。これで少しは楽になったはずだ。
普通の生命体と神は違う。普通の生命体はそれこそ力は全身に満たすようにするのがよいとかされてるだろう。そしてそれには自身の中の血流を意識するのが手っ取り早い。やっぱり血液というのは全身をめぐってるからね。それを意識できれば、自然と体の隅々まで力を満たすことが出来るのだ。そうやって全身を力を通す穴にすることで、効率よく魔法やら力やらを使えるようになろうという考えである。まあ上位の種族なんかは、それこそ生まれたときから強大な力を比較的自由自在に使えたりするけど。
でもその中でも、やっぱり天才は生まれるもので、上位の中でもとびぬけて凄い奴とかはもう普通なら感じえない程の力さえも操って力を無駄なく使ったりするかもしれない。いや、実際はそんな奴いなかったんだけど。だって強い奴は生まれたときから強かった。だから、ごり押し戦法をやってたのが大半だった。でも……そういうやつらは生き残らなかった。勝ち取ったのはアクトパラスとゼンマイだった。あいつらは上位の種族じゃなかった。
でも間にいたからこそ、あいつらは生きる術を模索して、きっとその力をどう使うかを考えることが出来たんだ。彼らもかなり力の使い方が上手い。でも、アクトパラスもゼンマイもなまじうまく出来るから引っ張られてる。それこそ肉体があった時の……神以前の時の力の使い方にね。
私は程々だったからね。確かに力は強かったけど、努力? なにそれ? だった。なので自分のスタイル的な物を捨てるなんてのはなんの抵抗もなかった。けど強いやつほど……それだけ星で強かったやつほど、自身のスタイルやらやり方を捨てるのは難しいだろう。だってそれでここまで来たんだからね。
でも神は根本が違う。それを理解しないといけない。大体神のやることは大規模になるのだから、抑えるよりもより開放するほうがいい。私の持論かもしれないが、開放するからって大雑把というわけじゃない。なんか……ね。
神ほどの力を使うとなると、全能感が出てくるのだ。それがなんか自分を別の感覚に導くというか? 大量の力を大量に扱うことでゾーンにでも入ってるのか、それに入ると膨大なエネルギーをすべて隅々まで把握できるようになる。
そのときの全能感が大切なのだ。それにどれだけ早く入るか……それが大切……なような気がしてる。だから私は手助けしてあげる。
『小さく纏まらないでねうさぎっ子』
「あんたに言われなくても!」
私がそう言うとこういう反応を返すと思った。私の助力を得て、うさぎっ子はこれまで使ったこと無い大量の力を一気に開放させることになる。




