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「ドラグさん」
「わかってる。あいつにこれ以上、この宇宙を汚させるなんてことはしない」
心で通じ合って、二人は作戦を練ってるらしい。実際あのサバ折りの神はこの宇宙の事なんて全く気にしてないからね。まあ他人の宇宙だし、そもそも攻め込んできた側だ。
だからこそ、元々この宇宙を滅茶苦茶にしてやろうって気持ちだったんだろう。私の宇宙を奪う……なんて気持ちではないようだ。
(私の宇宙なんて狭いからね)
私の宇宙を奪うメリットなんてほぼない。私の宇宙を奪うのなら、同時にアクトパラスとゼンマイの宇宙も手に入らないとメリットなんてないだろう。まあ今、あの二人の宇宙がどうなってるのか……それは全くもってわたしは関与してないから知る由もないんだけどね。
けどイケイケで攻めてるだろうだから、きっとその宇宙は拡大してることだろう。それでも三等分してた宇宙がようやく神一人分になっただけ……かもしれない。
それを奪ってメリットあるか? というとね。ならばやっぱりこのサバ折り神はただの嫌がらせか、誰かに命令されてるか……
とりあえず前に出て戦うのはドラグが務めるらしい。そしてその隙にウサギっ子が色々とサポートをする……そういう役割みたい。それに同時にウサギっこはあのサバ折り神を隔離する空間を用意してる。
このままこの宇宙で暴れてたら、いくつの星が犠牲になるかわからないからね。向こうの神には絶対に領域を展開させないように邪魔しつつ、ウサギっこは自身の領域にあの神を一気に引きずり込む気だ。
(うーん、ウサギっこには神の戦いを教えたっけ?)
なぜにすぐにそれが出来るのか……星での戦闘の経験かな? やっぱりまずは有利な状況を作る……というのがウサギっこの中では大きな領域を占めてるのかもしれない。
だからただその信念にそって行動してるだけ? それで最適解を引くとは……でも神の力をいきなり使いこなすなんてのはなかなかに難しいはず。
なにせ神の力は膨大だ。それは星で一生命だったときとは比べ物にならないくらいにね。だからこそ、いきなり大きな事をしようとしたら……
「くっ……つっ……」
ドラグが戦ってる中、ウサギっこが苦しそうにしだした。やっぱりそうなると思った。ここは私の出番だね!! ウサギっこと合法的に百合を……ぐへへ。
私は自身の中の力に苦しんでるウサギっこに声をかける。
『落ち着いて。私が手を貸して――』
「いらない」
きっぱりと言い切ってきた。そんな前のめりにしなくてもいいのにね。それに……そんな意地はったっていきなり神の力を使いこなす無理なんだからこれはしかたいなことなんだよ?
私は薄く力を流して私の存在をウサギっこにだけ感じさせる。私の分身がきっとウサギっこには見えてるでしょう。私は優しくウサギっこを包み込んでこういうよ。
『このままじゃ誰も守れないよ。最悪、ウサギっこの力の暴走でこの宇宙が……』
「つっ……これは貸しじゃないから」
『わかってるよ』
許可も出たし、私はとりあえずウサギっこにキスをした。やったー、神になったウサギっこのは・じ・め・て――もらっちゃった。




