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「失礼しました。ですがお客様。あなたはアポイントメントを取ってません。どうかお引き取りを。これ以上暴れるのなら新たに神となった私も参戦しましょう」
蹴りを入れたあとに優雅に一礼するうさぎっ子。その余裕はあくまでもブラフだとは思う。なにせ向こうのサバ折り神は中位に近しい神である。言うなればうさぎっ子とは年季が違う。
私とも……ね。今まさに「神」へと至ったうさぎっ子をサバ折り神が脅威と思うか? いや、思わないだろう。でも……きっと厄介とは思うはずだ。さっきまでの、そう眷属だったときではこのサバ折り神はうさぎっ子のことを歯牙にもかけてなかった。
でも今の一撃で嫌でもうさぎっ子のことも意識しなくてはいけなくなっただろう。
確かに神とはいえまだ赤子みたいなうさぎっ子。でもその力はちゃんとサバ折り神にダメージを与える程にある。
ならば警戒しないわけにはいかないだろう。これが一対一ならばサバ折り神も舌なめずりをしてどう調理してやろうか? と思える余裕があったと思う。でも今は条件があいつにとっては悪すぎるだろう。
だって相手の宇宙にまで出張ってきて、更には竜と神である。もともとは私という神がいないのを前提にやってきたはず。ヴァラヴァレレイドはカサノヴァと激しいバトル中だし、ズラララバライトはもういない。
ならば無防備な私の宇宙を今のうちに取ってしまうおう……というゲスな考え。いや、私は否定しない。だって私だって都合よく放置されてる宇宙が在るなら……ね。取っちゃうよね? だからだ。
1つ目のやつの誤算はきっとドラグの存在。そもそもが古龍に古龍に近い真龍改32槍だっけ? のヴァラヴァレレイドの存在。それだけ強力な龍二体が一人の神についてるなんてのは普通はない。
だからこそ、これ以上の存在なんて……と思ってただろう。でもドラグがいた。でも竜ならば神でもどうにかできる。だからやっかいだけど、倒す選択をするのはまだわかる。けど更には新たな神の誕生である。
これがやつの2つ目の誤算だ。てか本来ならもうここで「失礼しましたー」といって帰った方が絶対にいいと思うけど……どうやらサバ折り神は帰る気はないようだ。
「生まれたての神に、未熟な竜……まだだ、まだまだ我はやれますよおおおおおお!!」
そんな風に自身を奮い立たせてるのか知らないが、やつのテンションは高い。




