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「はあ……」
ウサギっこはなんかアンニョイな感じになってる。遠くでは神と竜の戦いが繰り広げられてる。あそこに飛び込むのはウサギっこは危険だと判断したのかもしれない。
そもそもあんまり守ろうとか思って……いや、ウサギっこも自分の仲間たちは守りたいだろうけどね。私の事は嫌いでも、私が管理してる宇宙には彼らの仲間がいる。
普段大胆に私に反骨してるのは私の中でもウサギっこ達がいた星……というか彼らを移住させた星は大切だから、私自身が壊すことはない……とわかってるからだ。
でも……あいつはそんなのは全く考慮しないだろう。私の宇宙を滅茶苦茶にしようとしてる。それならば遠慮なんて必要ない。でもウサギっこの力ではあの戦いに参加する事は出来ない。
『悔しい?』
ウサギっこは実際私が星から引っ張り上げて私のメイドにしてるんだから、星に居た時よりも強くなってる。その力で言えば単純に3乗くらいである。倍なんて甘くないからね。
それが神に仕える……ということだ。けどそれでもマジモンの神とやりあうとなったら全然だよね。それだけ規格外だからこそ『神』なのだ。あいつはどのくらいの神か……私成りに分析してみた。
きっとあれは中位の下の方か、下位の上の方だろう。つまりは中位と下位の間くらいと考えてる。つまりは私よりも全然力は強い。
けど総量で言うと私だってまけてない。なにせ私は自身の宇宙の広さ、そして星の多さと私のエネルギーは比例してないからね。聖杯によってこの宇宙の規模ではありえないくらいのエネルギーを私は保有してる。
『私は奴の前に姿を現すことは出来ない。だからウサギっこにも頑張ってもらうわ』
「私があんたの為に頑張る? 本気でそう思ってる?」
そんな事を思念を通して伝えてくるウサギっこ。でもこの宇宙でこのまま暴れ続けたら……
『この宇宙が滅茶苦茶にされたら当然、星だってどうにかなるかわからないよ。見てたでしょ? 星が一つなくなるのを……』
「……わかったわよ。私に何をさせたいの?」
『私はただ、強く美しく、そしてかわいいウサギっこが見たいだけだよ』
「ほんとう……吐き気がする。あんたの趣味の悪さに」
まだまだ嫌みが言えるってのは余裕があるという事。最後はあの神にカーテシーを決めておさらばして欲しい。大丈夫、私達に手を出した事、後悔させてあげよう。




