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「この空間を書き替えようとしてるのだろうが、それは無駄だ。なにせ常に核となる神は入れ替わってるからな。そしてそれを行ってる神たちはこの場にはいない。
外でその作業をやってる。ここに入ってるのはお前を倒せるだけの力量をもった中位の中でもえりすぐった神だけだ」
ローレン神のそんな言葉。私は思わずため息を吐く。どうりで空間の塗りつぶしが全然進まないと思った。空間は神の戦いにおいて重要だ。なにせ膨大な神のエネルギーを正攻法でなくすなんて現実的ではないからだ。
それに長引けば長引くほど、自分達だって消耗する。そんなのは嫌なのは道理でしょう。なのでより早く……を求めるのは当然。ならばどうするのか? それは自身が絶対的に有利な立場になる――それだけだ。
神は膨大なエネルギーを持ってるんだから、周囲の空間を丸ごと書き替えるなんて造作もない。その空間を自身に絶対有利な条件を付けて作る出す。そこに倒したい神を閉じ込めることで、絶対的な有利を取って叩き潰すのが神の戦いのセオリーです。
最初に空間を作り出すのに膨大な力を必要とはしますが、泥仕合をするよりはよっぽどいい。だから誰もがそれをやります。けど、もちろんその中にとらわれるのも神なのですから、内側からその空間を破壊……いや侵食しようとします。
空間と空間の食い合い。とらわれた側は仕掛けて来た側の空間の構築を分析して分解して、自身の空間を新たに作りつつ、侵食をして最終的に塗り替えるのを目指す。
対して、向こうは必死にそうはさせまいとする。その攻防が実は殴る蹴るとかよりも重要だ。だからもちろん、私もここに放り込まれた瞬間から、この空間を分析して分解してる。
でも……追いつかないとは思ってた。ローレン神のいうことが本当なら、この内部で戦闘要員として投入されてる神ではここの空間にはなんの意味もないってことだし……
どうりでこいつらと「同調」してもなんの意味もないとおもった。こうなったらローレン神と同調をする必要があるかしれない。彼ならこの内部にいるけど、きっと一翼にはなってるだろう。
それならばきっかけにできる。でも……
(あいつには近づきたくないんだよね)
むしろ私があいつから逃げ回ってるのに……自分から近づくなんてないわ。




