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「貴方なら、この大きな光をどうみますか?」
なんか占いを放棄してそんな事を質問してくるククール神。いや、今は占いしてるんだから先に結果を言いなさいよ。いや、どう見てもいい結果になるようにはおもえないけどね……
なにせこのお盆が宇宙を模してるのだとしたら、そこに既に他の光はひとつもない。あるのはただ一つ。中央の禍々しい紫の光だけ。それが宇宙を覆いつくそうとしてるようにみえる。這うようにその光の余波なのか先兵なのか……それが伸びてる。
とりあえず私はこれを見て得た印象を素直に語ることにした。
「宇宙は中央の光に飲み込まれる。それに逃げる術はない……って所かしら?」
丁度お盆の中身が全てこの紫の光が満たされた。なんとなくだけど、その中に恐ろしい龍の姿が見える気がしてる。実際直接私は始祖の龍とかいうのをみたことはない。
でも龍なんだからきっと怖い顔をしてるに違いない。
「ふふ、なるほど……確かにそういう見方もできるかもしれませんね」
「この結果が違うっていうの?」
どうみても不吉を現してる……というようにしか見えないが。
「言いましたよね? 占いとは未来を確定させるものじゃないのです。自由なんですよ?」
そういって彼女は身を乗り出すようにして、お盆の中を見つめる。
「そうですね。確かに全てが光にのまれたように見えるかもしれません。けど見てください」
そういってククール神は何かを示す。うん? なに? 何も見えないけど?
「私には見えます。まだ輝く者たちが」
「はあ……」
「確かにこの宇宙には危機が迫ってる。それは疑いようもない事実です。なにせどう占っても、この未来は変わりません」
「なら……それは……」
確定してるといえるような? けどククール神は首を振るう。
「いえ、私が見たのはこの宇宙に不幸が訪れるという未来だけです。途方もない危機が襲来します。けどそれを沢山の神が知りました。そしてこうやって不幸に覆われた宇宙でもそれに立ち向かおうとする者たちはいます」
「でも相手は始祖の龍よ。占いというのなら、どうしたらいいのかも教えてくれるのよね?」
私の言葉に意味深に微笑むククール神。そしてさらに真剣にお盆を見つめてこういった。
「私には皆が辺境を目指してるように見えます」
「逃げようとしてるんじゃない?」
「違いますね。そこに、希望があるからです」
そういうククール神が指さしたところ……そこが一筋、光りだす。




