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「いや、これって大問題でしょ? これを他の神も全員これになるってそれって未来がないってことじゃないの?」
「あらら、面白い解釈をするんですねイセノ神は」
なんでこいつは楽しそうに笑ってるのか。他にどういう解釈をするのが正しいのか、専門家様はどういう見解なのかいってみろというものだ。
普通は占いの結果なんてのは千差万別ではないのだろうか? 一人一人が違うように、同じように私たちは生きてないのだから、それらは違う未来をしめすものだろう。
けど今ククール神が言ったことが本当なら、ここ最近の占い結果は全てこれに収束してることになる。それは明らかに異常でしょ。なんでそのことが誰よりもわかるあんたがのほほんとしてるのよ……といいたい。
「ある意味、道とは同じ場所に行きつくもの……なのかもしれません」
なにやらまっくらになった占い結果を観つつそんな事を呟くククール神。その視線はすぐ近くを見てるようでも、もしくは果てなく悠久をみてるようでもある。ゆったりとした着物の様な服を何重にも着てるような……そんな格好のククール神。一番重そうな外側の着物はだいぶはだけててもうほとんど脱いでるような物だけど、そこは神。
絶妙なバランスを維持してる。袖も裾も長いのに、それを邪魔じゃないように使いこなしてるククール神は長い間この格好をし続けてきたのがわかる。
「なによそれ。言いたいだけでしょ」
「わかりましたか? 確かに今のは私が言いたかった言葉の一つです。こんな仕事をやってますからね。意味深に何かをいうのは得意なんですよ」
おい……である。別になんでもないのに、何か意味深に今までもいってきただろこいつ……と思った。
「実際商売あがったりですよ。これまでで培ってきた私の技術でそれらしいことを他の神々にはいって帰ってもらいましたけどね」
あっけらんとそういうククール神。こいつよりも強い神はいっぱいいる。暴れられたらまずいだろうに、肝が据わってるやつだ。まあこういう強かさ……私は嫌いじゃない。
「大きな星が複数消えました。そして……」
そういってククール神は急須の蓋を外して、もう知らん事か! という感じて急須をひっくり返して中身をドバドバと注ぐ。
さっきまでまの優雅さはやっぱり演出だったか……とか思ってると、広がる緑色の液体が一か所に集まっていく。それにそれは緑じゃなくなって……なんか紫の禍々しい色に輝きだす。
それはこのお盆の中心……そこにある。
「輝きを増してる一つの凶兆……これもきっと貴方ならわかるのではなくてイセノ神」
空の急須の先を私に向けてくるククール神。その顔は笑ってる。




