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「焦ったりしないわけ? この宇宙がヤバいって話をしてるのよ?」
「そんなの昔から言われてたじゃん」
まあそれはそうだ。そこそこ上の方の神になると、その話は自然と入ってくるようになる。なにせ中央がヤバいというのは巨大な宇宙を持つようになれば、その位置が変わり、周囲の宇宙を飲み込み押し出し、中心に近づくからだ。
そこまでなるのはかなり巨大な宇宙にとならないとだめだけど……上位ともなると、もちろんだけど宇宙の中心に近くなる。けどそれらは結果的にそうなっただけだ。
私の宇宙も最初は小さな宇宙……辺境の宇宙だった。上位の神となる過程で宇宙を成長させ、取り込んで、そして邪魔な神や竜を押しのけて、私の宇宙も中央の近くにきた。
けどそれが良かったのかは……ね。どうなんだろうと思う。だってこれ以上大きくなるには他の上位を取り込むか、滅するかしないといけない。それにそれだけじゃなく、中央に近いとなると、その中央の宇宙にも反発をしないといけないのだ。
宇宙は成長してる。それは中央だってそう。古龍たちが抑えるといっても、それでも中央の宇宙には日々成長する宇宙のエネルギー……いや全ての宇宙のエネルギーが巡ってきてる。
だからもちろん中央だって成長してる。上位の神となった者たちにはその中央の宇宙を咳止める役割もあった。古龍たちだけではできない役割。それを担うのも上位の神の役目ってね。
だから上位ともなるともう色々と宇宙の秘密は開示される。ククール神はそんな上の方の神じゃない。中位くらいの神だ。けどその唯一無二の力でかなり重宝される。
だから彼女はその宇宙の成長というよりも彼女自身の力で上位の神とも深い交流がある。だからきっと色々とわかってる。
「わかってたのなら、何か対策をしてるって事?」
「私は何も……何も……ね」
「なにせよそれ……ん?」
いや、これはククール神のメッセージだ。私はそれに気づいた。だってククール神の力は占いだ。色々な事を占って、そしてその占い結果には神さえも定評がある。
そんなククール神が何もしてない? それはおかしいだろう。未来が分かるのなら、いくらでも対策は出来る筈だ。そんな彼女が何もしてないって事は……だ。それって……
「この宇宙はなくならない。そういう事?」
私はポツリとそうつぶやいた。




