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「いらっしゃいイーセノ」
「出迎えご苦労。スイーツは栗きんとんでお願いね」
「相変わらずだねー。そんなんだから皆に嫌われるんだよ?」
「嫌われる? 私は愛されてるでしょ? どの神よりもね」
「そーいうとこだよねー」
なにか言いたそうな目の前の神……全身包帯をまいて、見えるのはその紫の鮮やかな体毛と、包帯が破れてる片目の部分だけ。真っ白い目に三色の赤・青・黄色の三つの光輪があるその目。
そんな体なのに、彼女はとんがり帽子をかぶって、そして腕と足にはしっかりとした手袋とブーツをしてる。体には包帯しかないのに……だ。趣味が悪い……と思うが、宇宙が違えば常識も何もかもが違うもの。
おかしな姿をした神なんてのはいくらでもいるから、それに私が突っ込むことはない。彼女の前には大きな皿がある。真っ暗で、星の様な色とりどりの砂が混ざりこんで近くで見るとキラキラと見えるその大きな皿は、きっと宇宙を模してる。
そこには酒が注いである。透明な酒だ。彼女の占い道具がそれである。
「ククール、あんたならもう色々とわかってるんでしょ? 私が来た目的だってね」
「そうねぇ。なにせ最近は商売繁盛してたからぁ。なにせ不安がってる神たちが殺到したからね」
そういって花を取り出すククール。その手に現れた真っ赤な花はその花弁が長く先端が丸く開いてる。花弁の中心にストロー差し込む。そして包帯で見えない口……包帯の隙間にストローを差し込んでチューチューしだす。
「ふう……」
なんかエロく見える。包帯なのに……なんでそんなに吐息がエロいんだ。
「それで名だたるイセノ神様も不安になったのかな?」
挑発的な発言。こいつは私をからかって楽しんでる。
「知ってるでしょうけど、この宇宙はもう終わりよ。だからどうするかって話。私としては逃げたい。けど他に選択肢はあるのかなって思ったから一応あんたに占ってもらおうって思ったの」
私はあまりにも普通にそういった。それに対しても、別にククールの奴は動揺しない。
「なるほど、それは大変ねぇ」
それだけだ。けどもうちょっと動揺してほしいよね。実際どこまで知ってるのか、かまかけてみるか?




