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「我らは何をしてきたのかのかのう……我らはルドルヴルヴとは違って母であるあれを救いたいわけではなかった。そうであろうメルラララバミュラバラバよ」
「それは全ての生命の、命のため。我らが宇宙は大きくなりました。それは我ら古龍が守って来たからです。そしてここにはたくさんの命が育まれてる。そして回っています。
それを守ろうとするのは当然の行い。いえ、力ある我らの義務。それが古龍の総意でしょう。なのに貴方は……」
白い体のメルラララバミュラバラバと我……それぞれ思念をぶつけ合い会話をしてる。古龍である我らがずっとやってきた事……それをメルラララバミュラバラバは否定されたくないようだ。
それはそうだろう。誰だってそうだ。これまでの行いが「無意味」なんて断定されたら大抵の奴らは怒るだろう。それも我らは宇宙が創生して同じ時を生きてきたといっても過言ではない。
それこそ数千億年は激動の時代だった。誰も……それこそ我ら古龍しかおぼえてないだろうが、宇宙は最初はずっと混沌としてた。そこに命はなく、あるのは我ら古龍と始祖が残した負の遺産だけ。
そんな状態の宇宙だった。始祖は今はただただ眠ってるような状態だが、それでも影響がないわけじゃない。なにせ始祖だ。
「のうメルラララバミュラバラバ……我らは長く生きてきてこの宇宙をより良くしようとしてきた。それは明らかだ。我らはよくやっただろう。我らの役目は始祖を抑えるだけになっておる」
「他の誰にも、それはできることでありません。神の頂点であるゼーファスにでもそれは無理でしょう」
「それはそうだな。わかっておるさ。ならばなぜ、貴様はゼーファスを止めなんだ?」
我のその質問に、メルラララバミュラバラバは大きくため息をはく。実際止めたかったのかもしれない。けど、それでも許してるのはこいつも限界は感じてるからだ。いやそもそもだ。
限界を感じてない古龍はいないだろう。なにせもうずっと始祖を抑え続けてる。だが宇宙は安定して、そしてうまくまわってる。そうなると始祖へと帰る力は大量になっていく。そしてそれを止めるすべは古龍である我らにはない。
なにせ我らは所詮は創造主ではなく、我らも想像された側だからだ。限りなく内部に近いが、それでも我らも管理者ではない。それを気取ってるだけのただの龍にすぎない。
だから宇宙のシステムを変えることなどできようはずもない。始祖は宇宙の中心にいる。ただそこにいるだけで、宇宙の力は集まってくる。だから我らが抑えられなくなるのはわかってたこと。
だからこそ、こやつもゼーファスに賭けてみたのだろう。やつの無意味なその理想に……




