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「いってらっしゃい」
『ああ』
そういって再び出陣するヴァラヴァレレイド。私はそんなヴァラヴァレレイドを見送るよ。とりあえず私はここにいつまでもいる気はない。私の生存を知られるわけにはいかない。
だってそしてたらさ、私の責任が追求されるからね。私はこのまま亡き者――になってたほうが色々と都合がいい。というわけで裏で暗躍するのだ。まあこっちでは下位の神でしかない私が何ができるのか? というのはあるが。
「あっきた」
ゴウンゴウン……という音は出てないが、なんかそんな音を立ててそうな、でっかい建造物がやってきた。まるでクラゲのような見た目の最新鋭の宇宙ステーションであるそれは、私のお迎えである。
まあ私の宇宙の産物ではない。あれは天才たちが作った宇宙ステーションだ。私の事を感知したからきっとやってきたのだろう。
(え? 感知できるの?)
とか思うだろうけど、それは彼らが特別だからだ。天才たちとは交流が深いからね。それに彼らは私の新生宇宙にも色々と機材を置いてる。それこそ新生宇宙を観測するための機材である。
そう言うので常に彼らは新生宇宙のデータを取ってる。だから私が入ったり出たりするのも彼らにはわかる。それに彼らは完全に私の味方である。何故にそう言えるのか……そもそもが彼らは違う神の所有物。そんなに全面的に信用するなんてできるのか? って普通は思うだろう。
でも彼らはわかりやすい。神のように複雑なことを考えてるわけじゃない。そもそもが宇宙の領域の奪い合いとか、神とのいざこざなんてのは興味がないし、彼らの神だってそういうのは興味ない。
そもそもが爪弾きになってたような神が爪弾きになってた魂を集めてたわけだからね。そして今一番の興味は私の『新生宇宙』なのだ。彼らの天才的頭脳はすべてそこに注がれてる。
なので今私がいなくなることを彼らはとても恐れてる。だから絶対に私の味方……といえるのだ。こうやって向かえに来てくれたのだって、本質的には新生宇宙の心配してるからだ。
透明な傘の中に平らな海が広がってるのがみえる。そしてその海の上にある大地にそびえ立つビル群がみえる。見た目を重視して作られた今回の宇宙ステーションは環境に対する命の進化を見る為の設計らしい。私にはよくわからない。
そう思ってると、外郭である透明な傘の部分から伸びてるクラゲっぽく観えてる原因の触手? みたいなのが伸びてきた。そしてそれが私の手前で先端から映像を映し出した。
『お元気そうで何よりです。我らは貴女様のご帰還をお待ちしておりましたよ』
「もてなしてくれる? 私今結構ボロボロなんだよね」
『それはもちろん』
そういうわけで私は触手に包まれてこの宇宙ステーション内部へと招かれた。まずはお風呂に入りたい。




