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「宇宙は大きく動き出したようじゃな」
そんな風に言うのはゼーファスという神である。彼はこの宇宙の中で一番長く生きてる神だ。古龍はそれよりももっと長く生きてるが、神の中では彼が最古といっていい。
そんな彼は自身の宇宙を散歩するように歩いてる。真っ白な髪に、豊満なヒゲ……そして汚れを一切許さない純白の衣装。そんな姿のゼーファスはこの暗い宇宙では異質なほど神々しい光を放ってる。それに……彼が足をおいた場所はその輝きを残してた。彼の軌跡は暗い宇宙に光を落としてる。
『やはりあの神……ラーゼでしたか?』
ゼーファスの傍に宇宙の闇から突如として白い龍が姿を表した。首が長く、ほっそりとしたフォルム。そしていつくものいびつな翼が伸びてるキレイな龍だ。
『すべてのきっかけはあの神……これもズラララバライトの策略?』
「どうですかな? 確かにズラララバライト様も何かを狙ってたのは確か。ですが、彼女は色々と彼の想定を超えてたようですよ」
そう言って「フォッフォッフォッ!」と笑うゼーファス。そんなゼーファスにその白い龍……いや白い古龍は半信半疑だ。
『ただの神……それも半人前の神でしょう?』
「儂もそう思っておりましたがね。ですが、会ってみるとなかなか楽しい神でした。いや、命……とでも言えましょう」
『鈍ってない魂の色をしてたと?』
「眩しいくらいでしたな。あれは神になりきれてないからだったのかもしれぬ」
『神は命の転生の果て。神以上の輝きの命など、我々龍以上にはありえないでしょう』
「ですが、ズラララバライト様だけではなく、彼女にはヴァラヴァレレイドもついた。きっとその命の輝きに惹かれたのでしょう」
『あの子はまだ幼い。物珍しに目がくらんだのでしょう』
「ヴァラヴァレレイドは古龍にも匹敵する力を持ってますぞ」
『それでも、私から見たら皆が赤子ですよ』
『それでどうする? ヴァラヴァレレイドが暴れてる。かなりの数の神が減るでしょう。宇宙も不安定になる。その刺激がきっかけで始祖に影響がないとも言えない』
「わかっております。まだまだこちら側の神は育っておりませぬ。それにヴァラヴァレレイドが暴れてるのは奴らの宇宙……」
『都合がいいですか』
「そうですな。でもこんな自殺的な行動……抜かりなく見ておく必要がありそうですな」
『……それは私が引き受けよう。そのラーゼとかいう神も気になりますし』
「彼女は死んだのでは?」
『本当にそう思ってて?』
そんな会話を二人はかわしていた。




