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「貴女は……」
「ふふ、ごめんなさいね。紹介が遅れたわね。私は上位神【カサノヴァ】よ。カーサちゃんって呼んでね」
ぱちんとウインクしてくるカサノヴァと名乗った神。その厚い化粧でデコられたハートが私の元へとやってくる。とりあえず私はペシンとそれを払い除けた。
「ああーん行けずー」
そんなことを胸を揺らしながら言ってくる。本気なのか冗談なのかわかんないやつだ。それに……上位神といった。本当に? けど中位であるペチュラが謙ってるからね。
間違いでもないのか。
「それで私になんのようですか? こんなリスクの高いことまでやって……それに他の神の元に上位の神が出張るなんて……」
神は基本的には自身の宇宙から動くことはない。前のゼーファスが神たちを収拾したのはそれだけ大事なことだったからだ。実際その通りだったしね。なにせ宇宙全体の危機なんだからね。
まあ有象無象を集めても……とおもったのかもしれない。なにせ下位の神……なんてね。私が言うのも何だけど。実際私は無理矢理……ではなかったけどアーミュラの招待で行った立場だったから、どれだけの神を招待したかったとかわかんないけど……
「ふふ、それは貴女の事にとーっても興味があるからよラーゼちゃん」
ちゃん付けとか……私の事明確に下に見てるよね? ちょっとイラッとする。だって私たち初対面だ。あの時……ゼーファスが集めた上位神の中にはカサノヴァという神はいなかったはずだ。
それなのに私に興味が湧いた? どういう事? てかどこで私を知る機会があるの?
「あらあら、ラーゼちゃんはもっと自分が注目をされると自覚されたほうが良いわね」
「それって……私の可愛さが全宇宙一だから?」
「全宇宙一の美貌の持ち主は俺だ!!」
ビクゥゥゥゥゥ!! ――となった。だっていきなり激昂するんだもん。けど私はここで負けちゃいけないと思った。なんでって? だってそれは私のアイデンティティーである。
それが例え上位の神だとしても、これだけは譲れないよね。本当はもっと穏便に……とか思ってた。だって相手は上位で、よくわかんない神だ。それに今の私にはズラララバライトとかヴァラヴァレレイドの助力も期待できない。
なら大人しくやり過ごすのが最善策だろう。そんなのはわかってる。けど誰しもに譲れないものってのがあるだろう。それが私にはこの宇宙一……いや全宇宙一の可愛い――である。




