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「はあ……」
そんな風に私は息を吐く。目の前には私をこの機会にと落とそうと集った神々に竜の面々。それが宇宙を埋め尽くすほどに揃ってる。私ってそんなに恨みを買われるような事をしてた覚えはないのだけど?
だって……
「どうしてこうなるのかしらね?」
私はそんな風に呟いた。すると私の傍に侍る数人の男女がこういうよ。
「きっと考える頭がないのでしょう」
「ほんと、どれだけアーミュラ様が手を差し伸べたと思ってるのでしょうね! ぷんぷんです!」
「神も竜も、ずっとこの機会をうかがってたのでしょう。お人好しな主を食う機会を。それが出来れば、ここら辺では頭一つ出ることができます」
「けどよーそれで恩を仇で返すか? 矜持がないのかこいつら!」
そんな風にいってくれる彼らは私の眷属であり家族。ともに歩んできて、そしてこれからも歩んでいく者たち。皆憤慨してるね。私は心を落ち着かせていうよ。
「しょうがない事なんでしょう。誰にも事情はあるものだしね」
「アーミュラ様……」
「なんと慈悲深い」
「まさに貴方様が真の神でしょう」
「あははー許すの?」
私は最後の言葉にだけ首を横に振るう。許す? 笑える事をいう。許すはずがない。こんな程度の戦力で、私に……勝てると思ってるその愚かさ、わからせてあげましょう。
「悲しいですけど、許すことは出来ません。彼らは私と敵対することを選んだ。一緒に進んで行けたらどれだ良かったか……」
「アーミュラ様、お顔が……」
「あはは、笑っちゃってるよ」
あらら、思わずにやついてましたか。まあ餌がこんなにも沢山自らを差し出しに来たら……ね。笑いもしますよ。しょうがないじゃないですか。私にはここに集まった神や竜たちがおいしそうな食材に見えて仕方ありません。
「さあ、皆。美味しく召し上がりましょうか」
圧倒的に数はこちらが不利。でも私たちは一歩も引きません。そうして私たちの所でも戦いの火ぶたが落とされた。
『アーミュラ……気づいてるか?』
頭へと……いえ、魂へと語りかける声。私はそれに「ええ」と返す。私たちに攻めて来てるアホな方々は気づいてないだろうけど、私が気づかないとでも?
宇宙に流されてるラーゼちゃんの力……それがなんか変わった気がする。そういう事を言いたいんでしょうね。
「気になる? なら会いに行ってもいいんだよ?」
『そんなことは……ない』
「そう? 一時は魂の回廊まで結んでたのにね」
私はそういって魂のつながりのあるその龍の名前を告げる。からかうようにね。
「ゼルラグドール」




