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「思ったんだけど……それって私は以前の私なのかな? 以前の私は一体どうなったの? 新生したの私は?」
ふと思った事を私はいってみた。確かに私は変わった。今私のこのお腹には宇宙がある。厳密にはまだ宇宙ではないけど、宇宙になろうとしてる段階の場所というか空間というか? そんなのを私は自身のお腹で育ててる。そこでふと、気になるのは以前の私と今の私は同一なのか? ということだ。いや、私は唯一無二だし、もちろん私の意識では同一である。
けどズラララバライトやヴァラヴァレレイドは私が新生したかのように言う。今の私は魂までも変質してしまってるらしいからね。てかだからこそ……だろう。だからこそ、聖杯が今も生み出してる力をなんともなくうけいれてる。実際、今の……新生した私と聖杯が生み出してる力は全くの別みたいだし、本当なら私が受け入れられないのかもしれない。
新生したといっても、私だから? 以前の私の……この宇宙にいたころの力はまだ互換性とか保ってる可能性はある。
(でも根本は変わってるんだろうな)
そんな事を思ってる私に、ズラララバライトはこういってきた。
『新たな宇宙……それも全く別の、拡張ではなく、それこそ新生の宇宙を作った存在がどうなるのか。それは誰にも未知数ではあった。
お前は自分の変化がわかるか?』
変化……ね。寧ろわからない事の方が多いというか? てか不便になってる気さえする。
「確かに変わってはいるよ。二人と魂の回廊を繋げないし、こっちの宇宙にはそれこそ違和感? を感じるからね」
『お前はもう、この宇宙にはいてはいけない存在なのかもしれない。だがかえってこれたのはおそらく……』
そういってズラララバライトは私の一部分を見つめる。そうお腹だ。ふっくらとしたお腹。そこに宇宙があるという事をズラララバライトも認めてくれたみたいだ。
私だけならまだしもドラグもそういってるからね。
『まだその宇宙が不完全だからであろう。もしも、完全にその宇宙が完成したら、もうこの宇宙にはいらないのかもしれぬ』
「もしかして私は一抜けたって奴?」
この宇宙は限界が近づいてる。みんなでさてどうしよう? とようやく動き出した感じだ。けど私はそんなのをもう気にする必要はないのかもしれない。だって私にはこの宇宙がある。
完全に独立してる、新たなる新生宇宙である。この宇宙が木端微塵とか藻屑とかなろうとも、私はこの宇宙があるから大丈夫ってね。
『ですが、その宇宙はまだ完成はしてないのだろう?』
ヴァラヴァレレイドが問題点を指摘してくる。まあ確かに。それは認めよう。何かがたりないのは確か。もしももうだめだ―となってこっちの宇宙に逃げるとしても……実際私だけでは……ね。
詰んでしまう可能性は高い。それにこっちの宇宙で出来た大切な人達……そういう人たちは連れてってもいいからね。でも宇宙が違うのにそれが出来るのかもわかんない。
「まあとりあえず、私はこの宇宙を育てつつ、完成を目指すよ。そうして新たな宇宙が生み出す力で出来ることを増やす。
言っとくけど、このことはしばらくは内密にね」
私はそういってかわいらしくウインクをしておいた。




