&132
「ラーゼ様、私には宇宙がわかります。偉大で最高に美しいラーゼ様が遥か高みへと至ったのだと、実感します」
そういって綺麗にお辞儀するドラグ。私は一瞬、誰だこいつ? とか思ったけど、ドラグだと気づいたよ。いや、だってさ。最後に会ったときはまだドラグ、太ってたし? 私が魂の階位を上げれなくて、けど聖杯がエネルギーを生み続けるせいで、ドラグは体に変化が起こってた。
横にデカくなってしまってた。せっかくのイケメンが台無しになってた。でもなんか帰ってきたらスリムな細マッチョに戻ってた。いや、それだけじゃない。なんかツートンカラーに代わってない? 前はとげとげした髪の毛は紫がかった髪だけだったのに、なんかいまは青いメッシュが入ったようになってるぞ。それに……目もなんか左右で色が違う。
ドラグも私が生み出した存在みたいなところあるからね。これまでも私の影響を間接的に受けて来たドラグである。きっと私が始祖となったことにこの変化も関係あるんだろう。
そしてそんなドラグだからこそ、私の宇宙を感じ取れてる。
「ドラグ、なんか変わったね。てかそれだけ影響出てるんなら、私の方にもアプローチしてよ。こっちは大変だったんだからさ」
「それは……すみません。こうなったのも多分ですが、ラーゼ様がその術をおとりになったからだと思うのです。自身では何もできない役立たずですみません」
そういってさらに頭を下げるドラグ。どうやらドラグがこうなったのは私が子宮に宇宙を取り込みだしてかららしい。それまではデブのままで体調も悪かったままだったのかもしれない。
そうなると責めることもできないね。てか……
「聖杯は?」
「再び取り込みました」
「大丈夫なの?」
「はい、今はこのくらいではなんともありません」
「ふーんそっか。ねえズラララバライト、私の魂の階位、どうなってる?」
私はそんなドラグの報告を聞いてふと気になったことをズラララバライトに確認してもらうことにした。だって今まではきつかったのだ。だからこそ、宇宙に垂れ流してた。だって一回稼働させたら聖杯は止めることができない。
だからずっとエネルギーを生み出し続けてた。いや、それはとても画期的でいい。ただそれを私が受け入れきれなかったってだけ。けどそんな私とドラグは連動してた筈で、私が受け入れられなかったからドラグにも影響が出てた筈だ。
そんなドラグがもう「なんともない」といってる。それってつまりだよ? そういう事?
ズラララバライトが私をその鋭い視線で見てくる。そして「ふむ……」と前置きをする。
『いや、貴様の魂はもうわからん』
それがズラララバライトの言葉だった。




