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「どうしよう……」
私は途方に暮れていた。だって……ね。だって本当に私は一人なのだ。もしかして、あの中心にいた始祖の龍……あれもこんな気持ちだったのかもしれない。確かに宇宙は出来たかもしれない。
いや、それも確かめる術なんてないんだけど……でも今の私には全てがたった一人の状態……になってる。こんなのは初めてだ。だって私はこの姿……ラーゼになってから、すぐにゼルラグドールことゼルと魂の回廊を結んだ。そして神となった今はズラララバライトとヴァラヴァレレイド……二人の龍が私と魂の回廊をつないでた。魂の回廊は魂のつながり。
それは本来ならどんな時間も空間も関係なくちぎれることない絆である。だからこそ、私はいつだって心強かった。心細いってことがなかった。目を閉じれば強大な力が感じれる。感じれた。
だから私は本当の孤独なんてなかったのだ。けど今は……
「ねえ……だれか? だれか? いないの?」
シーン……である。それはそうだろう。だって今作った場所……空間……『宇宙』なんだよね。成功してたら……だけど。
「落ち着け私、ここが本当に私が造りだした宇宙なら、何だって出来るはずだ。私はそれこそここでなら始祖だよ? 始祖の神だ。なんかそう考えると年取ってそうになるけど……始祖って言葉が悪いね。なら……始まりの女神? とか? うん、そっちの方がいいね」
私はなるべくバカっぽい事を考えて孤独を紛らわそうとしてた。死ぬとかは考えてない。だって私は腐っても神である。いくら一人でもきっと逆に死んだりもできないだろう。
そもそもが……だ。
(なんかあふれてくるな……)
それは力だ……力が溢れてくる。ちょっと前まで、宇宙を創るため……というか、さっきまでは私的には自分の力が感じれなくなってた。けど……今はちゃんと感じる。
しかもこれまでとは比じゃないくらいの力を……だ。私の魂の階位的に既に限界値だった筈だけど……これは宇宙を創造したことで私の魂の階位が上がったとかか?
それに……だ。
「今までの力と違う気がする」
それもある。私はもっと深く自分の中を感じる。すると……だ。すると以前の力も感じることができた。これって……
「私の中に力が二つある?」
けど以前の宇宙で使ってた力は今は極力小さくなってる。小さな箱に閉じ込められてる感じで、それがある一部に押し留まるってる感じだ。そして今私の体を満たしてるのはこの宇宙……新しく作った宇宙の力みたい。どうやら私は二つの根源の違う力を内包した存在になったみたいだ。
 




