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「現れろ。私が許す」
そういった。その瞬間、私が置いた□の簡易聖杯から何かが溢れだす。それは流れ出るとかはしてない。ただただ、そのあふれ出てる何かが、簡易聖杯をおおってる。そして大きくなってる。
私はそんな簡易聖杯を抱きしめるように抱える。優しく、そしておおらかに……私はいつの間にか真っ裸だった。全てが始まる瞬間だからかもしれない。だからこそ、始まったばかりの姿でないといけないのかも。
抱きかかえてた私も包み込み……それが増え続けていく。そしてどこかに意識が沈んでいく。
「ん……」
気づくと私は真っ暗な場所にいた。起き上がろうとしたら、あることに私は気づいた。それは私の手や足……つまりは四肢がどうやらこの場所に埋まってるということだ。
いや違う、同化? してると言った方がただしいか? けど感覚はあるから、四つん這いになるくらいはできた。私の綺麗な手足が……私は周囲を見回す。けどはっきり言って何もない。
そう何も感じない場所だ。本当に何もない……ただの無。
「これって……成功してるの?」
よくわかんない。これが全く新しい宇宙でいいのかどうか? だって本当に何もないんだもん。てか……
「私自身はどうなってるの?」
私は今、自分が創造した宇宙にいると仮定しよう。でもそれからどうしたらいいのか……全く持ってわかんない。私は力を感じようと思う。だってこの宇宙は私が造ったのだ。ならば……私には宇宙の中心として全ての力が集まってる筈。
だって元の宇宙だって中心にはあつまってた。ならこの宇宙だって……ね。実際何もないから力も何もないかもだけど……
「いや、まってよ。本当に何も感じないんだけど……」
私は結構焦ってる。宇宙を創ろうと思ってた。それは確かで、そして成功したかもしれない。でもこうなるのは予想外というか? 誰か助けてほしい!!
「うええええええん!? 誰かあああああああああああああ!?」
そんな風に私は大人げなく……というか神らしくない感じで泣いてる。誰かに気づいてほしいからだ。けど……何もならない。魂の回廊も切れてるし……一緒に宇宙創造の為に使ってた魂は……それもどこかに……本当の一人ボッチ?
宇宙創造だけに気を取られて、そのあとの事ってよく考えてなかった。そうだよね。だって宇宙を創造したら、その創造した宇宙だってどうにかしないとだよね……けどまさか完全にこっち側にいるとは思ってなかっんだよ!?




