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「大切なのは消失……きっかけは消失で神秘のはけ口は□であるべき」
私は宇宙創造でキーになるべく、集中をする。そして思い出すのは私の宇宙の外……別の宇宙で天才たちと語らった記憶。
『もしも宇宙も創造するとしたら? ですか』
「ええ、だってこの宇宙はもう限界なのよ? なら考えるべきじゃない? この宇宙以外の創造とかを」
『それはそうですね。私たちも宇宙の創造とはなにか……を激しく議論したこともあります』
「うんうん、聞かせて聞かせて」
『ですが今は百年でどこまで世界を発展できるか……それの競争で熱くてですね。ハイ・エボリューションまで到達できる最高効率がもうすぐ確立できそうなんですよ』
「それは興味深いわね」
『神としてはそうでしょう』
「いや、でも今は宇宙だから。創造出来るの? できないの?」
『ふむ、ラーゼ様がそこまで言うのならアーカイブを漁ってみましょう。我らの発言は全て記録としてこのデバイスで保存してありますので。どんな日のどんな雑談でも、アーカイブでいつだって聞けます』
「え? それプライバシーとかは……」
『はははは、誰がどこで、そして何が発展の手掛かりになるかはわかりません。知識も発想も共有してこそですよ。私たちは個ではない。私たちは捨てられた立場ですから、全員で一丸となって頑張ってるんですよ』
そんな会話を思い出した。凄いことを次々とやってるのというのに、全く持って宇宙の他の場所には彼らの発明とか発見……それが共有されてないのは、元からはじかれた存在……だから。
けど私はそんなのは気にしない。だから私は有意義で、そして有効性が高い彼ら天才たちをとても重宝してた。実際引き抜きたいくらいである。でも彼らを拾った神がそれを許すはずはないし、それに彼らもきっとそれは望んでない。
なにせ彼らはあそこの神には感謝してる。かなりこき使われてるが……でもそれは裏を返せばあの宇宙を彼らの庭にできてるってことだからね。彼らに神と同等の権利を持たせて宇宙を自由に彼らにさせてるのだ。
それを彼らは気に入ってる。だからきっと引き抜きは出来ないだろう。まあこうやって気軽に行き来できる宇宙がある……というだけでいいんだけどね。
『ふむ、やっぱりこの会話だけではまだ足りないでしょう。皆を集めてみましょう』
そんな事をいって彼は皆を集めてさらに議論を詰めてくれて、新たな聖杯も作ってくれた。それが今ある簡易聖杯である。
「消失した力……そのぽっかり空いた穴……そこの法則を書き換える。螺旋の聖杯よ……」




