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「ドラク聖杯を出して」
私はドラクにそういって体内から聖杯を取り出す。久々にみた聖杯には黄金色の液体がとめどなくあふれてた。こんな風になってるんだね。これが力……あふれるエネルギー。それがずっとこの聖杯から無制限に溢れてくるんだからどれだけ凄い事かわかるだろう。
聖杯は私のこの宇宙の為のエネルギーを出してる。てか……
「やっぱりただ離すだけじゃダメか……」
もしかしたら体内から聖杯を出せばすぐにドラクは元のシュっとした姿に戻るのではないか? と思ってた。けどどうやらそんな簡単な問題じゃないらしい。ドラクはまだ太ったままだ。
まあけど宇宙を創造出来たら、そっちに力を流せるわけで、そして創造が上手く行ったらしばらくはきっと大丈夫だろう。それは永遠ではなくても数百、数千年くらいはいけるだろう。
もしも宇宙でも受け入れるのがきつくなってきたら広げればいいのである。だから宇宙を創るメリットはいっぱいある。
私は受け取ったズラララバライトの鱗の隣に聖杯をとどまらせる。流石にズラララバライトとヴァラヴァレレイドの二人の力があふれてる中にウサギっ子を置いておくことは出来ないから、ウサギっ子は神の空間に帰させた。
そして私は更に簡易聖杯をとりだす。それはおちょこみたいな小ささだ。
「それは?」
「これは単一の機能だけを持った聖杯。せっかく私の宇宙に染まってる聖杯にすべてを任せると、膨大な二人のエネルギーを処理する過程でそっちに染まっちゃうかもだからね。
それに……これには聖杯にはない処理も持たせてある」
って天才たちはいってた。ドラクには事細かく説明できないが、そもそもが宇宙を創造するのと聖杯で無限にエネルギーを発生させるのはプロセスが全く一緒……となるわけがない。それは当然だよね? だからこそ、宇宙を創造するのに必要な機能……そのエネルギーの処理のための機能がこの簡易聖杯には込められてる。
私がこれまでの聖杯に求めるのは消失だけだ。けどこの簡易聖杯にはさらに『衝突』と『螺旋』が込められてる。そしてさらには『□』の聖杯によって、宇宙に作るのに必要な莫大ともいえるエネルギーと条件を満たす。理論上はね。そもそも理論なんて私はわかんないが……でもなんとかなるなる。
さあ始めよう。宇宙創造という禁忌をね。
 




