&105
「こうなったらこの宇宙を広げようと思ってる」
私はまず自分の結論からいってみた。だって攻めるのは面倒だ。ズラララバライトとヴァラヴァレレイドが手助けしてくれたら、サクサクとそこらの宇宙を刈り取れるが、二人はやってくれない。
二人が矢面に立ってくれたらそれこそアーミュラだって退けることが出来る。でも無理だから、私が攻める……というのはなしだ。けどそれを決めると、もう打つ手がない。
なので自分で広げるしかない。実際宇宙が自然に広がることに関しては誰も文句は言わないのだ。それはそういうもの……だから。他の神の領域……つまりはその宇宙を攻め落とすのは色々と軋轢が生まれる訳だけど、それをやるやつがいるのはそれにもメリットがあるから。
なにせいきなり成長した宇宙をドカンと手に入れることができるのだ。多分それが一番のメリットだと私は考えてる。確かにそれはとても魅力的。本当なら宇宙を育てるってことはとても大変で、そして年月をとても必要とすることだ。まあ時間的には宇宙の時間はそこの神が自由にできる。
いや、正確には宇宙の時間じゃないね。宇宙時間は統一されてる。けど星とかの時間は神であるこちらが操ることは出来る。だから星を成長させるときには何百年、何千年……いや、何万年とか待ってるなんてできないから、大体星の時間を早めてやってる。
きっとそれは私だけじゃない。そうやって生命の起こりを早めてる。けど何も感情も何もない、ただの生命体……それこそ植物とかだけじゃ、神の力にはならないんだよね。
命ではあるが、命でしかない……という感じだ。だからこそ、ちゃんと知能がある生命が発生してくれないと困る。そして人の様な高度な知的生命体だと、飛躍的に効率がよく神の力の根源をもたらしてくれるのだ。
けど自然発生的にそこまでやるのはかなり賭けだ。いくらちゃんと準備しても、全く手を入れないとなかなかそんな高度な知的生命体までいかないからね。
それでどうやって宇宙を広げるか……だけど、それは単純に神の力が増えないとできない。けど今は私の力があふれてるわけだから、条件としては満たしてるはずである。
じゃあ先にやれよってことだけど、宇宙を広げるっていっても私の場合は特殊だったのだ。それはなにか……
『お前の宇宙は一つの宇宙の三分の一だけだ。それでどうする?』
ズラララバライトのその言葉。そう……つまりはそういう事。いままで私が自分で宇宙を広げられなかった原因。それは大きく見たら一つの宇宙……それを私達は三人で分け合ってる。だからこそ、私の場所だけを広げる……ということができなかったのだ。
『下手をしたら、宇宙のバランスが崩れて崩壊するかもしれないぞ』
ヴァラヴァレレイドもそんな忠告をしてくる。宇宙は不定形に見えて、実は安定する形にとどまってるらしい。だからこそ、宇宙を広げるにはその『バランス』が大事らしい。理論上は宇宙は無限に広げていけるはずだけど、宇宙なのか、神なのか……には限界があってここまでってなって広げれなくなるらしい。
けど私たちの場合はそれ以前の問題。
「そうだね。それはわかってる。だから私は普通には広げない』
そういって私はニヤリとするよ。




