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「なんであの二人に竜がついてるわけ?」
『我には頼りたくないのだろう。それに貴様以外に我が従わないことも分かってる』
「だから、他の竜を引っ張ってきたってこと? てか、あの竜もよく二人の言葉に乗ったわね。下手したらズラララバライトやヴァラヴァレレイドに睨まれるのに……」
だって宇宙に一竜が基本だ。他の竜を迎え入れるのは神と竜のそうほうの同意が必要だろう。だってどっちも自己が強い。どっちだってプライドが高いのだ。勝手に何かをやられるのはいい気がしないってもの。
それに竜を増やすのは、元いる竜にとってはそんなに面白いものじゃない。だからこそ、追加する竜は元の管理してる竜の下に付く……みたいにするとういことらしい。そこら辺を色々と了承できる竜で無いとうまくやれるわけはない。
けどそんな下に付くことを良し……とする竜なんてのはそもそもがそうすることでしか生き残れない竜である。神は基本、自身の宇宙に引きこもってる。だから神同士の闘いってそんなに起きない。
今起きてるのは例外である。けど竜はだいたい宇宙を気ままに放浪してる。ちゃんと管理してる宇宙がない竜なら常に飛び回ってるらしい。竜は今、かなりの数があぶれてる状態みたいだ。
なのでよく喧嘩をしてる。それこそ新たな神が出たときにライバルを潰す意味でも常に竜は戦ってる。そして竜は倒した竜の力を食らえるらしい。だから積極的に戦う。宇宙の管理者の一竜へとなれれば、そんな日々から開放されるらしい。
宇宙の管理者になれたら、宇宙のエネルギーが入ってくるからだ。そうなると、わざわざ他の竜に喧嘩をふっかけて同胞を喰らわなくても生きていける。そもそもが竜は神とは違って肉体はちゃんとあるわけで、生命体なわけだ。
生きるのには食事が必要で、生きてくだけでエネルギーを使う。そしてでかい竜はそれだけエネルギーの消費も激しい。なので、宇宙を得てない竜は実は死と隣り合わせらしい。
それを聞くと、自分たちの宇宙へと竜が殺到してきたのも納得できる。どうやら竜は道楽目的だけで新参の神の下へおしかけてるわけじゃないみたいだ。シャバ代目当てでヤクザ的にお仕掛けてきた……のはまあそうだけど、切実な思いがあったらしい。
宇宙さえあれば……この戦いの日々から開放される。てかそれならこんな辺境の宇宙をズラララバライトなんていう古龍が横取りしたのは竜達からしたら「ふざけんなっ!!」って感じだろう。だってズラララバライトにはちゃんとした宇宙がある。こんな辺境なんてなくてもいい。
でも辺境にいる竜は別の宇宙の担当なんてしてるわけはない。きっと若い竜からズラララバライトはそうとう嫉妬の感情を向けられてることだろう。




