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「とりあえず終わったら起こして」
『この宇宙は滅ぼしてもいいのか?』
「私が得するように知てくれたらなんでもいいわ」
『了解した。全てはラーゼの望むままに』
ヴァラヴァレレイドはそういってくれた。力強いその言葉に私は安心して目を閉じた。何やらやけに眠くなってきたし、とても居心地いいんだよね。ヴァラヴァレレイドの羽はなんか硬そうで……羽毛……とかではなかった気がするんだけど……でもなんかやけに居心地がいい。
「ふわぁ……」
私はそんな事に疑問を持ちつつも、意識が深く沈んでいく。
『眠っておくといい。起きたときには全ては終わっている』
『な、ななな何をした貴様! ラーゼに何を!!』
何やらうるさい声が飛んでくる。ドラクとかいう竜なのかそうじゃないのか……よくわからない存在だ。確かに竜の気配はあるが……ただの竜とは言えない。よくわからないもの。
ズラララバライト様はラーゼが生み出した存在と言ってた。なるほどだ。なぜにズラララバライト様がラーゼにこだわるのか……関心を生んだのか……それがよくわかる。確かにラーゼは力だけで見たらそんなに強い神ではない。
急速に力をつけてるが、それでもまったく持って色々なことが足りてない。神として……様々なことが……だ。だがあの方はそれを許容してる。神とはこうあるべき……それをあの方は知ってる筈だ。
誰よりも……そのハズ。だがどうやらズラララバライト様はそれらの助言は最低限にしてるみたいだ。ラーゼの自主性に任せてる。まさかあの方がそんな事をするとは……それはある意味で自身の否定なのに……なにか思うことがあるのだろう。悠久のときを生きてきた最古の龍である古龍。
そのただの道楽……というわけでもないのだろう。きっとあの方は期待してる。この小さな存在に。それはきっと変化だろう。自身が作り上げてきた神と龍の関係性……そして凝り固まった宇宙の概念……それらに一石を投じるつもりだと感じる。それが正しいことなのか……それはわからない。
我も神竜改の一員……一竜として、その概念を守る側だった。それこそが秩序だと信じているからだ。その思いは今もある。私は平和を願ってるからだ。だが同時に……この者……この神……いや違うなこのラーゼという魂を見てると思うのだ。
(何かが起こる)
――と。それは今までどんな神と相対したときにもなかった感覚。それは最強の神と呼び声高いゼーファスとやり合ったときでも感じ得なかった感覚。だからこそ、わかる。この魂を輝かせねばならぬ……と。その露払いは我らがやろう。
「あっ……あぁぁぁあああ……」
『すまんな。この宇宙のためだ。貴様を食らう』
「あああああああああああ!!」
眼の前の神がその全ての力を向けてくる。だが、次の瞬間、私はその神を一飲みにして決着はついた。弱いな……弱い神だった。そしてただ弱いだけだ。




