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Σ36

 二人は商業区域に来てた。具体的にはその一角のかなりの区域を占める……作りかけのテーマパークっぽいところに来てた。まだ作りかけってことで人はいない。街中を歩くたびにラーゼの奴は注目の的だからね。流石にずっとそれではラーゼ的にもうざかったんだろう。慣れてるかと思ったけど……いや、ラーゼは問題ないのかもしれないけど、ベールさんの事を考えたのかも。

 

 二人は大きな門を潜り、その中へと入ってく。私たちはどうするべきか……はいれるのかな? って思ったら、普通に入れた。流石ラーゼ、私達も入れる様に言ってたみたい。閑散としたテーマパークに足を踏み入れる。どう考えてもここ、向こうの遊園地意識して作られてるよ。メリーゴーランドとか、コーヒーカップとかあるし。ジェットコースターは作りかけのよう。

 

 でもこういうのってこの世界で受けるのかな? よくわからない。ラーゼは自分の権限を使うの躊躇わないからこのくらいお茶の子さいさいだね。ラーゼが手を引いて「アレに乗りましょう!」とか言ってる。今更だけど、あいつのあの口調は何? 普段はもっと命令口調なのにすごく今はあざとい。あざとすぎて背中がぞわぞわしてる。

 

 二人でコーヒーカップにのって回って、ゴーカート乗って回って……そしてメリーゴーランドで回ってる。回ってばっかだねあいつら。バターになりたいのかな? まあ出来上がってるのが回る系ばっかりってのがあるけど。最初はこの施設に懐疑的だったベールさんもここまで回ってばっかりで頭がかき回されたのか案外楽しんでるようにも見える。

 

「あれはどんな施設なんだ?」


 とか普通に聞くようになってるし。すいてるから二人はサクサクとテーマパーク内を巡ってく。解放されたら実際こんな感じには回れないんだろうなって思う。だって向こうの世界では数時間待ちとか経験してるからね。ラーゼにはぜひ、その対策を講じてほしい。おかしいよねあれ。時間は限られてるのに、数時間も待つってなにさって言いたい。

 

 まあ恋人とかと回れば、そんな待ち時間も違うのかもしれないけど……いかんせん、私はそんな経験はない。今も一応男性と一緒にいるけど……この人呪いでもかけてそうな目で二人の事見てるからね。

 

「くっ、見たか今? ベールの奴さりげなくラーゼの手を取ったぞ」


 そんな事を逐一いってる。いやいやあれはエスコートでしょ。ベールさんも少しづつなれてきたのか、なんとか紳士的な対応ができるまでにはなってる。でもそれでもラーゼは止まらないけどね。あざとい接触や、視線誘導を駆使してる。それに実際ベールさんも抗えない時あるみたい。少しの間ボーっとするときあるもん。多分その時はラーゼの魅力に心奪われてるんだと思う。

 見惚れてるっていうかね。そして我に返って首を振るうってのが何度も見られた。ここで普通ならもうデレッデレになるはずなんだけど……そうじゃないから、ベールさんがまだ落ちてないんだとわかる。

 

 カタヤさんはベールさんの事もっとほめた方がいいけどね。だってあんなに耐えられる物? ラーゼがふわっとその髪をなびかせて香りを届かせただけで男落としたことあるんだよ。はっきり言ってラーゼの色香? といっていいかはわからないけど、その魅力は異性にはとても強力に映るのは確かだ。それこそ、すでに愛してる人がいないと抗えない程に。

 

「カタヤさん、ベールさんは付き合ってる人とかいるの?」

「いや……今はもういない」


 ん? なにそれ? 今は――て? 滅茶苦茶意味深なんですけど。けど何やら今だけはカタヤさんは真面目な目をしてる。これ以上聞くなって目。彼からはそれ以上言えないのであろう。二人はランチを取ってて、楽しそうにお喋りしてる。これならきっと供給量も上がったんではないだろうか? 二人の距離はぐっと縮まった気がする。

 

『どうですかベールさん。楽しんでくれましたか?』

『ああ、こういう所は初めてだったが、君のおかげで楽しめたよ』


 うんうん、普通に恋人っぽい会話だ。ベールさんも調子取り戻してきたから普通にこっちはが恥ずかしくなるこというね。

 

『じゃあ私の事、好きになってくれた?』


 なんか突然、いつもの口調に戻ったラーゼ。何か意図があるのかな?

 

『確かに君は綺麗で美しく、そして可愛らしい。とても魅力的な女性だよ』

『つまりはまだ私に恋してないと…………やっぱり彼女が枷になってるんですか?』

『君は……』


 ん? 何やらラーゼが爆弾なげた? ベールさんの顔が怖い感じにみえる。そう思ってると、いきなりわらわらとなにやら黒いタイツに身を包んだ奴らが大量に沸いてきた。そして二人を取り囲んでギーギー言ってる。

 

『なんだ貴様らは!?』


 まあそうなるよね。ラーゼを庇う様に前に出るベールさん。そんなベールさんへ黒タイツ達は一斉に襲い掛かる。何体か倒したけど、多勢に無勢。黒タイツの攻撃がベールさんへと炸裂して、その体が崩れ落ちる。どうやら麻痺させられた? 

 

『きゃああ! ベールさん!』


 なかなかに迫真の演技でラーゼが抱えられながらもベールさんに手を伸ばす。それにベールさんも手を伸ばしてる。けど無慈悲にも更にさっきの攻撃が叩き込まれる。ベールさんの腕が落ちる。けどそれでも彼は顔をあげようともがいてるようだった。

 

『ラーゼ……ラ……』

『きゃあああああああああ』

『……セラ……ス』


 最後に紡がれた名前……それは一体。そしてそのままラーゼは連れてかれた。ベールさんは必死に前へ進もうとしてるけど、これ以上は体が動かないようだった。さて、そろそろ出番かな? これはそういう事だよね? こんな事なら詳しく打ち合わせてしておくべきだったよ。

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