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「別に私は広い宇宙なんてそんなに望んでないんだけど?」
『貴様は上位の神を目指すのではないのか?」
「うぐ……」
痛いところをついてくるヴァラヴァレレイドである。こいつはきっとこの間の神の集まりを言ってるんだろう。あの時、あそこにいた神たちは皆で力を合わせて上位を目指すのを決めたのだ。
そこには当然だけど、私だって入ってる。まあね。それは理解してるよ。けど考えても見てほしい。
「でもほら、私ってあの中では一番下だったと思うんだよね」
『お前が一番下な訳はないだろう!』
ヴァラヴァレレイド激昂である。面倒なやつだ。私がそう思ってるんだからいいじゃん。確かに私以外のやつが「一番下はラーゼって神だよな」とか言われたら腹立つ。それはそうだ。他人に勝手に評価される……しかも下に……それは腹たってもしょうがないだろう。正当な権利である。
けど自分でいう分には謙遜じゃん。そこらへん汲み取ってほしい。本心なわけないじゃん。確かに私の宇宙は他の神に比べたらめっちゃ狭い。でも……だ。私の力そのものは下位の神には収まってないってのがアーミュラの評価だった。私は下位の神にはありえないくらいの力を内包してるのだ。
だから実際、あの場にいた中位の神にも実は手を伸ばせば届きそうな……そのくらいの力はあるとは自負してる。それもこれも聖杯のお陰である。聖杯様々だ。
「私は別にそれでいいってことよ。私は面倒は嫌なのよ」
『だが、それではゼーファスたちにはどういうのだ? お前は力を高める気はないのだろう? だが奴らは本気だぞ』
ズラララバライトがそう言ってくる。確かにゼーファス達は本気で上位の神を増やそうとしてるんだろう。それには私だって同意である。だって中央の宇宙が爆散したらすべての宇宙が無に帰すのだ。もちろん応援する。
「もちろん彼らの事応援してる。けど、私ってあの中で期待なんてされてないでしょ」
だって私は一番下の立場のはずだ。下位も下位の神。それが私だ。あの中のだいたいは中位の神だった。つまりは頑張るのは彼らでいい。そもそも私は呼ばれてなくて、勝手に行ったようなものだ。だから私はきっと頭数には入ってない。なので私は頑張らなくても問題ない。完璧な理論だね。
『まあお前がそう思ってるのならそれでいいが、では怒ってる神には頭を下げるのか?』
そうズラララバライトに言われて私は考え込む。頭を下げる? 確かに謝るのはこちらだろう。だって勝手に喧嘩をふっかけたのはこっちだ。
「とりあえずヴァラ、私をその神のところに連れていきなさい」
そういうことになった。




