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「何にやってるのよ! てかなんで!? 無闇に喧嘩売ってどうするの?」
『無闇ではない。ちゃんと考えてるぞ』
一体何を考えてるのか……ヴァラヴァレレイドの言うことはなんか禄でもなさそうだが、とりあえず聞いてみることにした。
『それでその考えてることって何よ? くだらないこと言ったら嫌いに成るわよ」
ヴァラヴァレレイドは私のことか大好きだからね。私のこの「嫌いになる」というワードはとても効く。実際今も「ぐっ」とぐらついた。けど態勢を立て直してヴァラヴァレレイドは言葉を紡ぐ。
とりあえず私は真面目な態勢で星作りをしてたから、椅子を出してそれに腰掛ける。王様が座るような大きな玉座である。私がすっぽりと収まるほどのね。大きさよりもその精巧さと美しさに目が行くような、私が座るのにふさわしい椅子である。前はそれこそ力で作り出す物はシンプルな物しか無理だったわけだけど、それは私の想像力が心もとないからだった。
細部まで思い描くってことが私は苦手だ。だから上手くいかなかった。だから今は事前に完成品を星にいる職人に作らせてそれを見たらまったく同じものをこうやって作り出せるようになったのだ。
そんな椅子にポスンと座って聞く体制をとるよ。
『私があの神のところに行った理由……それは簡単だ。私はいつでもラーゼの事を考えてる。そしてラーゼの為になることだけをやるのだ。だからこれはラーゼの為なのだ』
「あくまで私のためって事?」
『そうだ』
まあヴァラヴァレレイドが嘘を言ってる――とは思わない。だってこいつは私の事を異常に愛してる。まだ出会ってそんなに経ってないが、恋に落ちるときには時間なんて物は関係ないとはいえ、こいつはどうやら私に真っ逆さまに落ちたらしい。なので完全にヴァラヴァレレイドが惚れた側であり、私が惚れられた側だから、関係性としては私が圧倒的に有利。
ヴァラヴァレレイドは惚れた弱みで私のことを裏切るなんてまったく持って思えないからね。つまりはヴァラヴァレレイドは本当に私の為に他神へと喧嘩を売った……それはわかったけど、理由が知りたいよね。その狙いというか……何が私の為なのかってことだよ。
「それで私の為ってなにが?」
『この宇宙はお前には相応しくない』
「はい?」
『この宇宙は狭すぎる! こんな狭い宇宙はお前には相応しくないのだ』
まったく持って合理的な理由なんてなかった。そんな理由で強襲された神が可愛そうだよ。




