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私は新たなる星を作る。まあ毎日の日課の様なものだ。毎日百個くらいはつくる。私の宇宙でこれである。もっと膨大な広さの宇宙を持ってる神となると、一日で一体どれだけの星を作るのか? ある時、アーミュラに聞いてみたことがある。
「え? ラーゼちゃん手作業でやってるの?」
とかいう反応が帰ってきた。なにせ星の種を宇宙に流して、そこにデブリとか宇宙のゴミとか、小惑星とか……くっつけていって星の原型をつくる。まあ勝手に宇宙に流すだけでも作れるけど、そうなると一体何千年かかるのか……いや何万年……アーミュラとか、もっと上の神たちなら、それでいいのかもしれない。けどまだまだ全然星が足りない私達のような下っ端の神はそうはいかないでしょ。
なるべく早く、まともな星をつくらないと、神の力とはならないのだ。なら多少面倒でも自分で星を作ったほうがいい。そういうものでしょう。まあ普段から星の種をばらまいて、ある程度育ってる星の種に神が手を加えて新たな星へと致す……というのがアーミュラとかのやり方らしい。
だから正確なところはわからないといってた。それにそもそも一日という概念は別にないしね。わたしたちは星にいるわけじゃない。だから太陽を中心とした生活をしてるか? といえばそんな事はない。朝に起きて夜に寝る……ということをやってるわけじゃない。
なにせ太陽が昇ったり沈んだりするのは星の中にいるから起きることである。わたしたちは宇宙……にも正確にいない。神の空間にいる。一応私は太陽の動きに似たような朝と昼と夜を再現はしてる。
けど他の神とかはそんな事してなくても不思議じゃない。まあ私の場合はそんなに躍起になって星を増やすって事をしなくても別にいいんだけどね。
(私には聖杯があるしね)
聖杯は宇宙の仕組みのバグを利用してるみたいなものだ。本当なら星を育てて、その中で生命を育てて、その生命が神の力を生み出してくれる。だからこそ、神は星の数を増やすことが大事だ。しかもちゃんと生命が息づく星……それを増やすことがとても大事。
でもそもそも私の宇宙は狭い。星を増やすのもそこらの下位の神の半分以下くらいで限界はくる。だからこそのズル……聖杯である。私はそんなに宇宙を広くするような野心があるわけでもないしね。
聖杯で増やす力……そして新たな星を自分好みにしつつの遊び……それで適当に神をやっていく……それが私の神生活。実際それでよかった。むしろそのくらいが理想と言える。
なのに……だ。
『ゆるさん! ゆるさんぞきさまああああああ!!』
なんかそんな殴り込みを受けた。いきなりやってきたのは手紙だ。それがいきなり空間からあらわれた。神の空間に干渉して手紙を送りつける。そんなことが出来るのは同じ神くらいだろう。そしてその手紙下勝手に喋ってる。
つまりはこれは神の所業。なぜか怒ってるけどね。
『これは明らかな違反行為だ! 我の宇宙を切り取る貴様を、我は許さん!!』
うん、まったく身に覚えがない。けどこの神、めっちゃ怒ってる。これは話し合いで解決……なんて雰囲気ではなさそうだ。




