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Σ34

 サナハイムの街はとてもにぎわってた。まだまだ出来立ての街とあって、皆が希望をもってこの街を作ってるのがわかる。てか街ってこんな風にできるんだなーって思った。だってこういうのって向こうの世界ではまず見ることない。だってすでに出来ちゃってるもんね。それに向こうの世界は結構びっしりと家とか建物あるし、工事があったとしても、それは既存の道路を拡張したりなんやらだ。

 

 一からこうやって作ってく所なんて見たことない。向こうではほんと、何も考えずに過ごしてたんだなっ思う。だって自分が生まれた家や街がすごい……なんて思うことまずないじゃん。でも本当はあんな街にするために、とてつもない時間と労力がかかってるんだよね。私たちはその上になんの疑問もなく乗っかってたけど、それはこんなにもすごい事だった。

 

 こっちの世界にきて私はそれをしったよ。向こうに戻ったら、すこしは自分の生まれた街の歴史とか調べようと思う。いや、確か小学生の時にそんな事した気がする。そのときはこんな事なんの意味もないとおもってたらから記憶にも殆どないけど、今ならもっとまじめにやれそうだ。あれにも意味があったんだなーって今の私ならしみじみと思える。

 

「亜子、早く行こう。ベールの奴を見失う。なんせこの人の多さだからな」

「う……あ、はい」


 せっかく人が干渉と感動に浸ってたのに、カタヤさんの空気壊す発言で台無しだよ。まあさ、こんな光景はこの世界の人達からすれば感動することでもないのかもしれないけど……私たちは日を跨いで街へと繰り出してる。カタヤさんと一緒だけど、別にデートって訳じゃない。寧ろ私たちはデートを見張る立場だ。そしてそのデートの対象はベールさんとラーゼである。

 

 何かと忙しいラーゼだけど、デートは二つ返事で了承してくれたようだ。ラーゼはアンティカ関連で何かと協力してくれてるから、たぶん今回もその延長なんだろう。人混みがごった返すなか、私たちは少し高い位置から、二人の待ち合わせの場所の広場をみてた。ここも人が多い。さっきから見てると、待ち合わせしてるカップルがいっぱい。

 

 どうやらここは待ち合わせのめっかのようだ。そしてそんな中、一人、スーツを着込んでるベールさん。うん、かなり浮いてるね。まあ彼も貴族だし、あれが正装なんだろう。けど周りはラフな格好のひとたちばかり。だから余計にね。通りすがる人たちも一瞬振り向いてるよ。まあそのあとは見なかったことにしてくれてるけどね。

 

「緊張してるみたいだね」

「曲がり何にも年上だろうにな。ふん、まあ今日のエスコートを少しは参考にしようと思ったけど、無駄みたいだな」


 何をこの人は自分がラーゼとデートした時のシュミレーションしてるんだか。ほんとは悔しくて仕方ないんだね。今日のこれだって色々と理由延べて言い訳してたけど、本音はもしもベールさんがラーゼといい雰囲気になるんじゃないかと気が気じゃないんだろうって手に取るようにわかる。さすがにそんな心配はいらないと思うけどね。

 

 寧ろ私はベールさんの方が心配っていうか……そう思ってると空気が変わった。広場の……いや、広場へと続く道からそれは起こってた。あいつが通った場所には道が自然とできる。そして視線を独占して、広がる静寂。

 

「お待たせしました」


 そんな事を可愛らしくいうラーゼはまさに美少女だった。誰もが見ほれる美少女だったよ。

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