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Σ31

 私たちは山の側面から内部へと侵入して、サナハイムの秘密のドックへと降り立ってた。そこには沢山の荷物が乱雑に置かれてて、お世辞にもきれいとはいえない。それに岩盤むき出しのところとかあるし、まだ完成してるわけじゃないのかなって感じ。着陸するところもかなり汚くて、なんか思ってたのと違う。秘密基地ってなんかもっとこう、すごい技術の塊……みたいなさ。そんなイメージを勝手に思ってた。

 

 でもここ、普通に表側の施設よりも汚いでしょ。秘密基地ってある意味生活感がないくらいにこう……整然としてるみたいなさ……いや、これも勝手なイメージだけどね。寧ろ、生活感しかないよ。そこらに食器とか転がってるよ。どういうことこれ? 

 

「よし、早速降りるぞ。責任者と話はつけてあるからの」


 そういうネジマキ博士の後に私たちは続くしかない。とりあえずここまで来る時間で少しは回復出来たから、自力で立ってみんなの後に続く。今の服装はいつの間にか着てた白いワンピースだ。私的にはシンプル過ぎるのは好きじゃないんだけど、仕方ない。ここでまでアクティブスーツに身を包んでるのも疲れるからね。まあ、カタヤさんやベールさんはアクティブスーツだけど。

 

 私たちにとってはあれが軍服みたいなものだからね。誰も別に指摘しない。けど二人はいいよね。男だから。だからあんなピッチりとしたスーツのまま、人前に出れるんだよ。あれ、体のライン丸見えだからね。私だって別に太ってはいない。寧ろ体重は増えたけど、筋肉がついたから体的にはかなり引き締まってる。正直、少しは自信がある。

 時々自室の姿見で自身の筋肉を眺めたりするくらいにはね。実際、男性みたいに浮き上がる程にあるわけじゃないけど、力を入れたりすればわかるし、力を入れなくても触ったりしたら皮膚の下にあるなーってのはわかる。これが案外うれしいみたいな? 

 

 向こうの世界にいただけじゃ、この感覚はわからなかっただろう。だって筋トレなんて、三日も持った試しないし。そもそも女子に筋肉が必要なのかってね。実際向こうではいらないよね。でもこっちでは女子供だって、魔物は容赦したりしてくれないからね。それは他種族でも同様だ。だから私のような女子とかが怠慢してていいわけじゃない。

 

 別に普通に暮らしてる人たちにそんな義務はないんだろうけどさ……それこそ、頼りになる人がいるなら、その人に守ってもらうとかいう手段があるだろう。けど、それでもどうしようもなくなった時、その時ただやられるか、一矢報いるかの違いくらいは出てくるかもしれない。実際、少し人種が鍛えた程度じゃ、魔物にも他種族にも歯が立たないのがこの世界の厳しいところだけどね。

 

 けどこういうのは自信になるとは思う。実際私は、こんなに頑張ったんだからやれる! って思いはあるもん。それに最後まで自分自身を裏切らないのは、やっぱり自身の体ではないかなってね。

 

 でも、自信があるからって見られていいかっての言うと違う。だってやっぱり視線を感じるし。一年たって胸だって成長したし、私はもう、この世界では大人と同然だ。まあ、実際は学生だけどさ……けどこの世界で大人とみられる年齢には達してる。だから、そういう誘いとかもあるわけで……しかも私は結構優良物件のようだし。

 だからなるべく男性を刺激するようなことはしたくない。彼氏とかには憧れるんだけどね。けど……ここではダメだ。だってここで大切な人たちが増えてしまったら? もしも……もしもだよ……愛する人とかができちゃったりしたらどうなる? 私は向こうの世界に帰る事が出来なくなるかもしれない。それはダメだ。だって私はお母さんに帰るって言ったもん。

 だからあんな格好で人前には出れない。部隊の皆の中でなら気にしないんだけどね。

 

 私とカタヤさん、それにベールさんとネジマキ博士は空挺の外へと降りた。周りを見ると、やっぱりゴミが散乱してて実はゴミ捨て場なんじゃないの? って疑うくらいだ。その時、何か動いたような? 薄暗いから気のせいかもしれないけど、なにやらゴミがごそごそ動いてない?

 

「何かいる?」


 どうやら私だけが感づいたわけじゃないよう。カタヤさんもそういった。やっぱりなにかいるよね? 不味い奴じゃないよね? 具体的には敵じゃないよね? さすがに今の私の状態では戦闘は厳しい。

 

「心配する必要などない。おお、来たぞ」


 ネジマキ博士は気にした風もなくそういった。どうやら害はないっぽい? てか、害があるなら放っとくわけないよね。私もその何かから意識を外して、ネジマキ博士と同じ方を見る。するとそこには不思議な集団がいた。私の下半身くらいまでしかない身長で、やけに細い手足、それでいてポッコリしたおなか、服は一応皆さんきてるけど、なぜか全員がお腹がでる服きてる。なにこだわり? 

 

 そして何よりも異形なのがその顔……というかお面だ。お面をはめてるのか……それともあれが本当に顔? よくわからない。けど、あれは人種ではないのはわかる。けどここはファイラル領だ。ほかの種族が跋扈してもおかしくはない。他の領ではありえないけど、ここでは別段驚くことでもない。変わった見た目の人だなーと思えばいいのだ。

 スルースキルが大切なんだ。

 

「よう博士、今回は派手にやられたみたいじゃーね」

「やられてなどおらんわ。儂のアンティカは最強じゃぞ!」

「あれでやられてねえっ――て?」


 ほんとだよ。お面の人はにやにやしながら言ってる。てかまだ空挺の中に入ってもいないのにアンティカの状況をしってるってことは、事前にデータをおくってたんだろう。うん……それしかない。

 

(けど、それっていいのかな?)


 下手すれば牢屋行きの案件だよこれ。だってアンティカは国の最重要機密だ。それを他種族に教えるなんて持っての他では? 確かにかれらは協力的になってる種族何だろうってのはわかる。けど、上の人たちがなんでも彼等に話すわけない。機密なんてもってのほか。それなのにネジマキ博士はあっさりと彼らにアンティカの情報を渡してる。

 

(まあ、ここならきっと大丈夫。そう信じよう)


 私はそう思うことにした。するといつも頭痛の種をまき散らしてるこの人は、豪快不遜に言い放つ。

 

「完膚なきまでに壊れたのなら敗北も認めようではないか。だが、儂のアンティカはここにある! 勝つまでやれば負けではない!」


 すごい理論振り回しちゃってるよこの人。その勝つためにあれと戦うの私達だよね!? 私のそんな思いをよそに、仮面の人は盛大に笑ってた。こっちは泣きたいけどね。

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