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Σ26

 なくした右腕からバチバチと火花が散る。画面にはいろいろと赤い文字が踊ってる。これはフレームまでいったね。修復には時間がかかっちゃう。ネジマキ博士に文句いわれそうだ。まあそれも、ここから生きて帰れたら……だけど。迫る鋼岩種。その先頭にはあの五メートル級の奴。どうやら戦闘はあいつに任せて、ほかの奴らは私を逃がさない事に集中してるみたい。やっかいな事を……

 

「ゼロ、サルファーフィールドで結界を壊せる?」

『エネルギーが足りません。危険すぎます。サルファーフィールドは万能ですが、鋼岩種とは相性が悪いです』

「どういうこと?」

『マスターの得たデータ的に、結界特化の鋼岩種は構築と妨害にたけてるはずです。不完全なサルファーフィールドでは破壊する前に組みなおされる恐れがあります』

「そんな……」


 まさか結界特化がそんな弊害になるとは……せっかくの魔法を持ち腐れにしてるなーとか思ってたけど、特化してるとその一点はやっぱり滅茶苦茶強いってことだろう。とうとうサルファーフィールドでも一筋縄ではいかない種が出てきたか。まあ、万全の態勢なら、まだいけるだろうけど……戦場では万全な態勢なんてそうそうないのが現状だ。

 そして今まさに万全でない態勢でピンチ。

 

「新装備の方は?」

『散布時間が稼げるのなら、希望はあります』

「それでいくしかないよね」


 私は肩と背中の可動部分を開く。するとそこから赤いマナが放出されだす。それを明らかに鋼岩種は警戒してるようだ。だけど、それに対して五メートル級の奴は走り出した。こいつは多分、どの鋼岩種よりも戦いになれてる。私が何か企んでるのを敏感に察してるんだろう。だからその何かをさせまいと急いでる。もっと鋼岩種らしくゆっくりしとけばいいのに……そう思ってると、あの加速がきた。一瞬で目前に迫る拳。それを紙一重で交わして距離を――取らせないようにほかの鋼岩種が邪魔してる。

 

 不味い……このままじゃいつか捕まる。こうなったら! 私は周りを囲んでる鋼岩種に向かってく。そして囲んでただけの奴の腕を取って、足を蹴ってバランスを崩す。そこから体を潜り込ませて、背負い投げの要領で鋼岩種を投げる。しかも五メートル級の奴にむかってだ。これで押しつぶせれば! そんなことを思ってたけど、ぶつかった鋼岩種のほうが胴体千切れてた。

 

「ちょっとなんでよおおおおおおおお!!」


 私は思わずコクピットでそう叫んだ。いやいや、おかしいでしょ。どんだけ頑丈なのよ。同じ鋼岩種でここまで違うの? 私はすかさず後方に飛んで鋼岩種の奴らを踏み台にしつつ逃げる。すでに散布率が五十%を超えてる。もう少し逃げ切れば……けどその時、足を鋼岩種に掴まれた。さすがに調子に乗って足蹴にしすぎたか。すると周りの奴らも腕を伸ばしてきて、私をその場に押しとどめようとする。

 

 そこに響く足音。まずいまずいまずい鋼岩種どもが上にも乗ってきて周囲も見えないが、まずいのはわかる。

 

「ゼロ!」

『まだ七十五%です』


 このままでは鋼岩種もろとも木端微塵にされる。けど逃げようにも力強いこいつらから逃れることはできない。

 

『マスター、飛んでください』

「え? でも……」

『飛べます。今なら』


 私はその言葉を信じることにした。アンティカの全身に光が走り、浮こうとしてるのがわかる。けど、周りには鋼岩種がのしかかって一筋縄ではいかない。でも、浮けなきゃ死ぬだけだ。私は操縦桿に力をこめる。

 

「浮けえええええええええええええ!!」


 その思いが届いたのか、何体かの鋼岩種を乗せたままアンティカはマナをまき散らし空へと飛んだ。下には今まさに同胞を犠牲にした一撃がはなたれてた。危機一髪、そこに私は乗ってた鋼岩種を上から投げてやった。受けるのならこっちのものだ。このエリアを飛んで一気に散布濃度をあげる。

 

『いけますマスター』

「うん、この結界を壊す! サルファーフィールド展開!!」


 私の……いやアンティカのマナで満たされたのなら、通じる! 増幅される! 魔法で形作られてた夢の街は、音を立てて壊れていく。


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