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「くっ」
私の身体に傷が何個も刻まれる。その度に痛みが私を襲う。けど私はそんなの気にしない。いや、恨み一つ一つちゃんと覚えてるけどね。なにせ私のこの身体に傷をつける……それって大罪だだからね。
(痛覚はなくしてるのに……それに……どんどん傷が深くなってる)
グジュグジュとする。この傷口。痛みを何処かに落っことす様にしてるのに、それさえ頭にガツンとぶつけてくるんだから恨みが増す。これも王の剣が私の新たな信仰という力に対応してるからだろう。このままだとその内愛聖女もきっとやられる。本当ならもっとゆっくりと適応しなさいよ――って文句を言いたい。けどそんな文句言ったってしょうがない。
なにせ向こうは私を殺したくてたまらないのだ。そして私もラジエルを殺したくてたまらない。
『『『ラーゼ様!!』』』
そんな声が私の頭に……いや違う。この戦場に響いたみたいだった。痛みでイライラして、上手く力をねれてなかった所に聞こえる可愛い声。それは聞き覚えのある声だった。
『私達の、いいえ、皆の応援の声を聞いてください! それを私達が届けみせます!!』
『いっくよー皆!』
『ラーゼ様に、戦場の皆さんに応援を届けましょう~』
『皆も一緒に歌ってねーーーー!!』
それはプリムローズの面々だった。彼らの映像が戦場に映し出されてる。そして音楽が響きだし、彼らが可愛く踊りだす。
「ふざけた事を!!」
そう言って更にラジエルの力が高まった。どうやら癇に障ったらしい。うっさい、しゃべるな。私のかわいい女の子たちを馬鹿にするんじゃない! 私は彼女たちの歌声で一気に心がストンと落ち着いたよ。それに……届く。歌に乗って、今まで以上の信仰心が……愛が届くのだ。
「皆も感じるでしょう? 私達は願われてる。後はたったの一人。勝利を見せてあげましょう」
そう言って私は周囲の仲間たちを鼓舞するよ。それにそれだけじゃない。私の愛が……この戦場全ての仲間へと伝わる。それによって、皆の側に愛聖女が現れてた。私の背後のものほどに大きくはない。けど、それでも愛聖女だ。今まで自分たちの仲間の特性と、そして進化の果てに達した力。更に王の剣というチート武器。それを使ってたった一人でも無双してたラジエル。
でもこっちも全ての人に愛が届くようになって、戦局に変化が出てくる。連携の中にも、突貫できる奴らの動きが更に大胆になったし、そこに躊躇いもなくなった。連携を気にするあまり、射線の邪魔にならな無いように……とか、タイミングとか……色々と成約があった。
でももう、そんなのはどうでも良かった。なにせ皆は愛聖女によって繋がってるのだ。この戦場にいる全ての私陣営の存在が、僅かな視線、僅かなうごき、それだけで完璧な……いや、それ以上の動きができだしてる。
確かに生物の……種の頂点としてはラジエルなんだろう。けど、それにも負けないと気概と意気込みを歌によって皆が湧き上がらせてた。




