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「王の剣はお前を逃しはしない! ラーゼエエエエエエエエエ!!」
そんなうるさい声が聞こえる。たった一人でよくやるよ……とか思ってた。愛聖女と後は皆に任せて置けば……そう思ってたら、なんか私の腕が吹き飛んだ。
「つっ!?」
私は速攻で痛覚を遮断した。そしてまずは回復だ。回復……
「しない?」
どういう事だ? 私の力がなくなった? いや、そんな訳はない。ある……潤沢にある。それに私への信仰心も十分だ。力は逆にどんどんと湧き上がってくる感じさえある。それが今までのこの星の力全てを使えたときに比べて、それ以上か? と言われると、流石にそれほどとは言えないが……でもそれでも強大で膨大。
今までの感覚的にこれで腕を回復できない――なんて事は絶対にない。それなのに……
「運命を……宿命さえも切り裂くことが出来る。それが王の剣だ。それに……すでにお前のその力にも王の剣は対応した!」
そう言って更に王の剣を振り抜くラジエル。私は防御ではなく、回避を愛聖女に求めた。すると愛聖女が消えてくれた。そしていつの間には私の背後の方にいる。まあおかげて愛聖女のスカートのカーテンに入ってて守られてたこっち側の奴らが王の剣の流れ弾に当たってたけど……まあ私ほどのダメージにはならないでしょう。
だってラジエルの言葉を信じるなら、王の剣はどうやらアップデートされたらしい。メジャーアップデートなのかマイナーなほうなのかは知らないが、私への対応を果たしたらしい。
(それってきっと新しい規格に対応するとか……そんなのなら、マイナーな方かな?)
きっと内部のソフトウェアの改良でどうにかなる部分。それを行ったらしい。私はそんな安い女じゃないから、メジャーアップデートを希望するが……そこは一枚くらい奴らが上手だったのだろう。
私の片手にどれだけの価値があるのかわかってるのかラジエルのヤツ? 私の腕を舐め回したい奴らなん5万と居るし、私の指使いは極上と評判なのに……それにやっぱりバランス的に身体は五体満足の方が受けがいい。
私の美しさは削がれないけど……削がれないけども……完璧ではなくなってしまうじゃん。
「王の剣が私に更に対応したのは憎らしいけど……それなら……攻撃して攻撃して、私に近づけないで!!」
そんな風に周囲に叫ぶ。それによって更にラジエルへの攻撃が激しさをます。さっきはわざわざ愛聖女が動いたが……私だけを守るのに愛聖女には集中させよう。なにせ……だ。なにせ、私の周りには沢山の兵士たちがいる。それに対して、ラジエルはたった一人。
私が前に出る必要なんてのは一ミリもない。
「さっきの言葉……運命とか、宿命とか……どういう事?」
私は傷ついた肩を抑えて、そんなコトをつぶやく。ラジエルは確実に追い込んで行くのが良いみたいだね。それに……
『ラーゼ様。お待たせしました。全射程圏内です』
そんな通信が届く。どうやらエデンが来たらしい。これで私は城に引っ込むことも出来る。けど流石にそれは……ね。エデン自体を戦闘に巻き込みたくはない。それに……だ。それにラジエルへの止めは私がしたいしね。
この因縁は私自身が最後に手を下す――その覚悟だ。




