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Σ10

「なんで……なんでなんでなんで! レイドス様を守ってくれなっかたの!!」


 そういった女生徒は私の事を掴んで引っ張り出す。パランスが崩れてた私はその勢いに抵抗する事が出来ずに、なすがままにされてた。その間も彼女はずっと「なんで!」と言ってた。そして彼女も目一杯私をグワングワンしてたからだろう、パランス崩して二人して床に倒れる。私が下になって倒れたから、彼女の体重分ダメージを受けた気がする。

 私の上に跨ってる彼女。その瞳からは涙が溢れるてる。流石にここまでされたらわかる。彼女が何をいいたいのか。レイドスは私と共に先行カリキュラムに選ばれた一人だ。

 

 先行カリキュラムに選ばれるのは成績上位者だから、人気がある人達が多かった。つまりこの子はレイドスの事を想ってたんだろう。それか……もしかしたら恋人か? けどアイツ確か既に婚約者が居るとか言ってた。まあ貴族には珍しくない。私も最初はびっくりしたものだけど、一年もいれば慣れる。だって結構な割合で婚約者居るからね。そういう世界なんだ。

 

 こんないつ死んでしまうか分からない世界だから、貴族はその家を続かせることも立派な役目。だからこそ幼い頃には互いの親の間で決まることもあると……そう聞いた。


「えっとレイドスの婚約者なの?」

「違います。私など……そんな器ではないから。でも! この想いは本物だった!!」


 彼女は私を睨みつけてそう言うよ。私は……この人になんて言えばいいの? 逆ギレでもしたほうがいいのかな? だっていくら私がアンティカに乗ってると言っても、部隊も作戦地域も違う人を助けるなんて無理だし……そもそもその場に居た人達でさえ、沢山私は死なせてるよ。婚約者ではなくても、その想いが本物だから私を許せないのかな? 

 いや、この人だって多分わかってる。私に言ってる事がどうしようもない八つ当たりだと。けど、きっと言わずにはいられないんだろう。

 

「貴方には……力があった筈でしょう……人類最高の力が……」


 アンティカを神の兵器だとでもおもってるのか? けど、実際こういう人は多い。だってそもそも上がそんな感じに宣伝してるからね。実際アンティカが出来てから、人種は他種族に勝てるように成ってきた。この勢いと希望を上は絶やしたくないのだろう。それにアンティカがあれば、軍は強気に出れるってのがある。はっきり言って、今、この国は結構いびつになりつつある。

 

 元々は王族が絶対的な権力を持つ絶対王政だった訳だけど、今や王政側と軍で権力が分散しつつある。王でも軍を抑えられなく成ってるんだ。軍はイケイケムードで侵略を勧めたい考え。けど王政側はもっと慎重にいきたいみたい。それにライザップという結構格上の国を落とした事で、民衆は軍側に偏ってる。ようは戦争を望んでる。

 

 軍には一般兵の志願が一年前から大幅に増えたらしいからね。負けてる時は、軍なんてお飾りだったらしいけど、いざ勝てるとなるこの手の平の返しよう……まあ世間なんてそんなものなんだろう。そしてその勝利の象徴こそがアンティカだ。それにきっとこの国の中では、アンティカの輝かしい活躍しか伝えられてないだろう。

実際ラジオとかでもそうだしね。


 そんな国にとって都合のいい部分しか伝えられてない人達は、アンティカを神の如き兵器と捕らえてもおかしくない。まあこの人はここの生徒だし、もうちょっと情報が入ってそうなものだけど……今は錯乱してるんだろう。

 

「ごめんなさい……」

「謝る……くらいなら……皆をちゃんと守ってよ……」


 そう言って私の胸に顔を埋めて泣きじゃくる彼女。この人の言葉は……きっとこの人だけの言葉じゃないと……私は思った。それはこの国の……人種全体の言葉なんだ。私はただ、プロト・ゼロに乗れるだけ。だから乗ってるだけだった。私の目的の為にも、プロト・ゼロは必要だし、だから……けど、アンティカに……プロト・ゼロに乗るって事は、こういう思いを背負う事なんだ。

 

(私は……人類を救わないと行けないのかな?)


 そんな疑問が湧いてきた。

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