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「マナよ我が語りに応え、事象を具現せよ! 魂の宿りし依代を強く強く、何者にも負けぬ速さを宿し、何者にも砕かれない肉体を願う。我が願う正義を体現せしその姿よ、降臨せよ!!」


 強い光が部屋を満たした。そして現れたのは金色の小さいアンティカの様な機械人形。なんか思ったよりも細身のフォルムでなんだか装甲が足りなかったのかな? とか不安になる感じだ。けど早そうではある。格好いいし。

 

「それは……アンティカか?」

「ペル様だ。これぞ俺の真の姿」


 なんかペルの声が野太くなってた。それに別に真の姿とかなかったから。そこまで考えてペル生み出してないよ私。けどやっぱりアンティカに見えるよね。カタヤさんの機体にそっくりだもん。私が詠唱の時にそれを思い浮かべたからだと思う。

 

「キララ……今度こそお前を守ってみせる。だから、怖がるな。お前は凄い奴だ!」

「っ――――うん!」


 直球でその言葉は私の胸をドカンと叩いたよ。確かにまだ怖い。けど、ペルが私を支えてくれる。カタヤさんと亜子が隣に居てくれる。アナハは……すぐに治してあげよう。そしてラーゼも……私はまだやれる。

 

「サーテラス様!」

「あら……ようやくやる気が出ましたか? そうでないと……殺しがいがありませんものね!」


 ラーゼの人形の最後の一体を放り投げて、彼女はこちらをみる。やっぱり直視すると震えてくる。けどそこでペルが私の肩に手を置いてくれる。力が沸き立つようだった。

 

「私も貴女が嫌いです。けど、私は見捨てたりしない。お友達として、貴女を止めてみせます!!」

「あはははははは! 面白いですわ。とっても面白いですわよ! こんな私をお友達!? 貴女のそういう所、大嫌いです!!」

 

 サーテラス様は一気にこちらに突進してくる。それに相対するようにペルが出た。その速さはラーゼの人形の比じゃない。サーテラス様にだって負けてない! 

 

「退きなさい人形!!」

「オレはペルだ! キララの矛であり盾! キララの所に行きたいのなら俺を押しのけてみろ!!」


 ペルは自身の背丈程の巨大な剣を背中からパージして振りかぶる。それに対してサーテラス様は素手。だけどそれになんの問題もなかった。超切れそうな剣を拳で弾く。

 

「やはり主人が主人なら、下の者もその程度ですわね。身分を弁えてない」

「元から俺に身分なんてない! 俺たちには上も下も無いんだよ!」


 そんなペルの言葉に私は心のなかでごめんという。小さい時のペルに対する扱いはペット扱いだったよ。まあだけど、今のペルをペット扱いは流石に出来ないね。うん、私たちに上も下もない。その通りだよ。

 

 激しい攻防が繰り広げられてる……多分。多分って言うのは私には見えないからだ。てか縦横無尽に部屋を駆け回ってるのはわかるよ。だっていきなり色んな家具がぶっ壊れてるからね。そこを通ったんだなってわかる。

 

「確かにさっきの人形よりは出来るようですわね。でも……それでも私には届きませんわよ!!」


 いきなりペルがこっちに吹っ飛んできた。私は魔法を駆使してペルを受け止める。

 

「ペル!?」

「大丈夫、まだやれるさ」


 けどそういうペルの胴体には大きな凹みができてた。それに対して、サーテラス様は息一つ切らしてない。本当に……どれだれなのよ……なんだか肌も黒く成ってない? ますます魔物チックになってるよ。

 

「俺達も加勢するぞ。どれだけやれるかは分からないが……アレを使う」


 あれ? 一体何を? まさかアンティカかな? カタヤさんのアレと言えばアンティカしか思い浮かばないけど。

 

「私、カタヤ様を殺す気は無いのですけど? 狙いはそこの愚か者だけです」

「そうか……けど彼女は友達なんだ。みすみす殺させるわけには行かない」

「そうですか。まあどうせついて来れないでしょう。人の身では無理な次元なのですよ」

「君は……貴族という肩書に執着する割に、人である事には興味がないようだね。けど、僕たちは人なんだ。その可能性を信じてる!」


 その時、カタヤさんがスーツのベルト部分を何やら操作した。すると突然、スーツが蠢きだして、その肌が所々露わになって覆う部分が凝縮して、裏地? が見えてオレンジと黒の模様になってた。更に背中の方からプシューと何やら白い蒸気の様な物が排出されてる。

 

「強化外骨格『アトラス』これで示そう。人の可能性を。僕達が誇るべきは肩書なんかじゃない。人であると言うことだ!」


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