表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/2417

β29

 次の日、おかしな事が起こった。サーテラス様……というか魔王が幅をきかせるようになった学園に登校するのは常に躊躇ってというか、億劫さが心に芽生える。朝から憂鬱になるというかさ……けど、自分を奮い立たせて制服を来て、なんとかこれからの……引いてとは将来を見据えて私はようやく寮を出てるんだよ。

 

 それなのに一体これは何? 

 

「おはうようございますキララ様。今日はなかなか面白い講義がありましてよ」

「そうなんでよーキララ様ー。一月に一回あるかないかの講義ですよー」

「今日もやはり生徒会の方々とお昼はご一緒に? 時には私達とはいかがでしょう?」


 なんだか登校するなりこんな状態だった。これじゃあまるで、サーテラス様が綺麗になる前に戻ったかのようだ。サーテラス様が綺麗に成ったら、皆そっちに行っちゃったからね。けどこれは……皆サーテラス様の事は忘れてしまったのだろうかって位の戻り様。私はサーテラス様の新たな策略かと警戒しつつ、その名前を出してみる。

 

「あの……サーテラス様の事は良いんですか?」

「「「サーテラス様?」」」


 そこで皆さんが一瞬「?」を出した気がした。でもそれは忘れてるとか、そういうことではないよう。ただ単に今の話しの流れでどうして私は彼女の名前を出すんだろう……って「?」だと皆さんの言葉でわかった。

 

「ふふ、キララ様も気になるんですね。私達もそうなのですよ」

「うんうん。だってーサーテラス様一気に綺麗になったじゃないですかー。もう超ビックリだしー、羨ましいしですー」

「確かに人が変わったみたいになりましたわね。けど良い事ではないですか。ね、キララ様」


 こんな具合だった。そして私は最初の講義が始まるまで、彼女達から解放される事はなかった。しかも登校してくるクラスメイトが少しずつ加わってくるおまけ付き。久しぶりに、なんだかとても充実した気分だった。ちなみにサーテラス様はまだ登校していない。私が知る限り、あの人が居ないなんてこれが初めてかも。朝はいつもちゃんと……というか、わざわざ教室に居たのに……

 

「アナハ、あのねあのね」

「…………」


 私は急に元に戻ったクラスメイトたちの事をアナハに教えたくてアナハ近づいたけど、彼女は尽く私からのアプローチを無視した。これにはかなり私はショックを受けたよ。まあさ……私は薄情だよ。だってアナハって最初からこのクラスだったのに全く気づかなかったし……今更クラスで仲良くすんなってことかもしれない。ショボーンとしつつ、今度の講義に必要な教科書を開くとそこには紙が挟んであった。そしてそれにはこう書いてある。

 

『クラスでは他人。話はお昼に、最初会った場所で』


 私は嬉しくなってギュッとそれを握りつぶしてしまった。慌てて伸ばして、綺麗に保管する。宝物にしよう。アナハが初めて私にくれたものだからね。

 

「ペルお願い」

「ゴミだろこれ」


 ペルに保管して貰おうと思ったら、そんな事を言われた。ペルのお腹は容量無制限の異空間なのだ。どういう理屈でそんな事に成ってるのかは知らない。だから多すぎる荷物とかはペルに運んで貰ってる。これはとても便利だ。この学園はレベルが高いからね。おのずと使う本は分厚くなる。それをいくつも持ち歩くのは大変なのだ。

 学園を歩いてると、よく本を山積みして歩いてる生徒を見る。けど私はペルのお陰で、傍目には最低限の荷物で済むように成ってるのだ。か弱い女の子の強い味方。それがペルです。

 

「ゴミじゃないよ。宝物だよ!」


 ごちゃごちゃ言うペルのお腹に私は紙を押し込む。そして次の講義の前にちょっとトイレに向かった。そこで私は声を掛けられた。トイレを済ませて、ハンカチを咥えて手を洗ってた時だ。ここの生徒たちはそんなはしたない事やらないし、私も他の生徒が居るときはそんな事しないんだけど、偶々タイミングが悪かったんだ。そう、そんなタイミングの悪い時に「げっ」と思う相手に声を掛けられた。

 彼女達は……そう、昨日私の部屋に侵入した二人組。つまりはサーテラス様の取り巻き二人だった。

次は一時間後くらいに上げれると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ