H330
「穴だらけになれえええええ!!」
私が撃つ銃弾は一発撃つだけで、無数の球が打ち出されてる。私の手に収まる小さなピストルみたいな形状なのに、放たれる球はショットガンのように拡散してる。けどショットガンのように遠距離で使えないこともなくて楽でいいのだ。
それにこの弾丸は私のマナで出来てる。つまりはクリスタルウッドに当たっても何ら影響なんて無い。ここで戦闘するって事は、クリスタルウッドに気を遣うと奴らはきっと考えてたはずだ。
でも私はそんな器用なことをする奴ではないのだ。むしろ気を遣うのはお前たちだ!!
「ラアアゼエエエエエエエエエエエエエエ!!」
何人かには適当に撃ってる間に体に風穴を開けてやったはずだ。苦しんでるのが見える。けどラジエルの奴には当たってないみたいな? それなりに力を込めたから、一つ一つが一撃必殺くらいの威力はあったと思うんだけど……これが獣人の進化した強さなのか、それとも……ラジエルが持ってるあの王の剣の力なのか。
(ん? ラジエル?)
あれって私は思った。まあけど今は戦闘中だ。下手に思考をそらしてる場合じゃない。私の防御力でもあの王の剣の攻撃はまずいからね。どういう原理かは知らないが、あの剣は私に直接ダメージを与えてくる。
痛いのは嫌だから避ける! 白ウサギの装備であるホワホワとした尻尾がフリフリと揺れて私の体を自然と動かしてくれる。私自身では格好良く躱す……なんて事は出来ないからね。装備の力に頼って何が悪い。
「何!?」
ははは、私に躱されたのか相当ショックだったのか、ラジエルの奴が動揺してる。その横っ面に私は銃口を向けてやった。後は引き金を引くだけの簡単なお仕事。照準を合わせる必要なんて無い。ただ撃てば当たるのである。
ってな訳でポチッとな。
「くああああ! ぐっ!」
ラジエルの奴に銃弾をたたき込んだ訳だけど、なんか銃弾がそらされてる? 一応こっちが放った銃弾が多すぎてそらす力的にも無理があったのか距離は開いた。
ラジエルの奴は剣で、私は銃。距離が開いたのなら、私が有利。私は「お願いね」と右側の銃にそう言うよ。そしてすぐさま撃ち放つ。左我はこれまで通りに一回引き金を引いただけでたくさんの銃弾が拡散した。
けど右側は違う。私の言葉で一つの銃弾を撃ち出した。うまくラジエルは剣でさばいて、その体の頑強さか何なのかわかんない力で防いでるが、これで終わりだよ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
なんとか王の剣を合わせて私の放った銃弾を受け止める。けどここだよ。
「さようなら」
私はさらにそこで銃弾を発した。白い力の銃弾に青い光が混ざり、次の瞬間――
バキッ
――と王の剣の刀身を半分にした。そしてさらにラジエルの腕から血が吹きすさぶ。




