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β14

「よろしくお願いします」


 そんな挨拶とともに私が生徒会の一員になって早数週間。ここしばらくはとても平穏だった。何故かというと、私をいびり続けてた豚がブタ箱に軟禁状態となったからだ。生徒会の一員に成った私にそれでも嫌がらせしてきてたからね。それは生徒会を敵に回すことと同義。その位豚はわかってたはずだけど……それでも豚は止まらなかった。

 

 貴族と言う爵位を……制度を誰よりも拘ってたのに、それでも生徒会の面々に楯突くような行動の数々。まあ直接的には他の方々に何かやる――なんてことはなかった。けど、明らかに私を敵対視してるのはあの豚だけだったから、正直バレバレ。どうして止まれなかったのか……私の事がそんなに憎かったのか……ちょっと悲しくなった。

 だって私は何もしてないからね。ただ、私が貴族ではないってだけで……それだけでアレだけやれるのかって正直今でも思う。でもきっと彼女にはそれが全てだったんだろう。彼女には身分しかすがれるものがなかった。だからこそ、それ無しでこの国の大切な位の人達に近づく私が許せなかったんだろう。

 

 

 そういえば、どうして私が生徒会に入ったのか……それもついでに話しておこう。けどそれに特別なことは別にない。誘われて調べたら、確かに生徒会というのは面倒だけど、箔が着くのは確からしかった。私はそれまで日に何度も告白されるってのが当たり前だったんだけど、生徒会とはどうやら高嶺の花らしくて、そういうのが減るかな? って狙いがあった。

 そして実際、生徒会に入ったらそういうのはピタリと止んだ。止んだ時はちょっと寂しかったけど、私に注がれる視線は多くなった気がする。今まではただの平民だけど、凄い娘だった。けど今は生徒会の凄い娘である。それに後は豚も生徒会に入れば手を出して来ないだろうと言う公算も会ったんだけどね。それは見事に外れた。

 けどそれはしょうがない。人の感情なんて結局はわからないんだ。豚の行動には会長もティアラ様も驚いてた。それに私を勧誘する時の殺し文句的に言ってたから、それでも止まらなかった豚に情けを掛けるなんてことはできなかったんだろう。

 

「君のことは僕が守ろう」


 そんな事を会長であるオルレイン様は言ってくれた。だからこそ豚は退学まで追い込まれてたわけなんだよね。けど流石にそれはなーと思ったから謹慎処分で許して上げた。

 これで頭に上った血が下がれば良いんだけど。私も次はきっとかばわない。だって被害被ってるのは私だし、そこまでやる義理はない。今度も同じ様な事をしてくるのならば容赦なく退学だ。

 

 

「お早うございますキララ様」


 けど、それは杞憂に終わった。だってそこには別人が居たからだ。一週間ぶりに登校してきた豚は……もう豚では無かった。淑女になってた。私を見るなり血走ってた目はなりを潜めて、とても穏やかだった。口調も柔らかくなった感じ。そしてなにより、身体がスラッとなってて、腕も脚も細く、お腹周りだって全然違う。けど胸は豚だった時のまま豊満。

 顔も小さく成ったかのように見えて……その……とても美人になってる。一週間……それはどうやら人を変えるには充分な時間のようだった。

 

(いや、変わりすぎでしょ!?)


 私は心の中でそう叫んだ。

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