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H312

「ん~!」


 私は新作プリンを口にハムっとと含むとそんな声にならない声を出した。そのプリンは特段の柔らかさを保ってるみたいだった。スプーンですくうとまさにプルプルで、口に含めると驚異の舌触りで口の中に広がるようだった。


 口の中いっぱい甘い空間にして優しく消えていくプリン。これは全部ペロッと食べてしまえるかもしれない。でもめっちゃ見られてるからね。とりあえずそれらしいことを言う為にも、私はしっかり味うことにした。けど一個はぺろりと平らげてしまったけどね。


「うーんボリュームはもうちょっとあってもいいかもしれないですね」


 とりあえず最初の意見はそんなものだ。一応この容器くらいがプリンの一般的な容量だとは思う。あれ? それともこの容器にその品評会は規定されてるとかあるのかな? それなら悪い事を言ったかもしれない。

 まあ次だ。


 層になってる部分は確かに味が違うようだった。でもそんなに主張は激しくはない。容器は小さいからね。派手に味を変えていては層ごとにこの容器では食べれないし、混ざったときの味を考えてこうしてあるんだろう。


 たぶんこの層はあくまでも見た目のインパクトの為だね。それに後は一番下だ。容器に入ってる場合、一番下にカラメルがくるか、後でかけるか……だけど、この作品は最初から表面に薄くカラメルが伸ばしてある。

 その代わりに最後の仕掛けとして、容器の底にはパチパチはじける不思議な固形物があった。


「面白いですね。お口の中が楽しいです」


 駄菓子を思い出したよ。最近では前世の事を思い出す事もあんまりないが……これは駄菓子を思いだす。てかこんなのあったんだ。それともプリン伯爵が開発したんだろうか? この口の中でパチパチはじけるブームが来るかもしれない。


 止まらない私は三つ目に行く。やっぱりプリンはプルルンとしてて食べやすいね。大きな果肉もあって食べ応え的には普通のプリンよりは断然にある。

 けどやっぱりそこはプロである。それに品評会の審査員たちがただ甘さを求めてるわけでもないと知ったうえで、バランスをとってるから次々に行ける。


 そもそもが品評会の審査員とかいっぱい甘いのを食べるだろうし、食べやすさを重視してるのかもしれない。甘々な口の中に、更に甘々な絨毯爆撃するよりは食べやすさと、そして甘さ以外でのインパクト……レベルが高いじゃない。


 とりあえず私は三つを食べていったんお口を上品に拭き拭きした。そしてプリン伯爵達にこう言った。


「大変美味でしたよ。貴方達の努力を感じることが出来るプリンでした」

「あ、ありがとうございます!!」


 平身低頭のプリン伯爵。私はそれを見ながら、残りはエデンでたべよっと――と考えてた。このプリンはすべて私の物だ。だって献上されたし!

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