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H311

(うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!)


 私はまさにそんな心の声を上げてプリン銘菓の新作を救うべく行動を起こした。なにせ私は今はどこぞのお嬢様である。あまり大きな声ははしたなくて上げられないからね。 

 けど、心の中では声を上げて私は自分を鼓舞したのだ。なにせ六つのプリンの命運は私の手にかかってる。ただの人種であるプリン伯爵達には何も期待できないからね。

 

(私が! 私がやらないと!!)


 力を高めた私はけどそれでも、その力を完全に内部……つまり体内に抑えて濃度を高める。更にその大部分を脳へと集中することで思考が超加速的な働きを始める。


 それによって時間がゆっくりに感じられるんだ。私は既に体の方へとは十分な力をいきわたらせてる。そしてこの思考の超加速が加われば、私は一秒……いやもっと短い間に思考を巡らせて、更にその流れる時が遅い中、強化した体で素早く動くことが出来るのだ。

 上位種ともなれば、これを当たり前にやってくる。だからこそこれが出来ない人種では上位種の戦いのステージに立てないのだ。アンティカはそれをAIとかで補ってるからこそ、他の種族と対等に渡り合える。それにあれはコクピット内部も特殊でそういう助けをするように作られてるからね。


 まあ私は素でできるがね! 私は箱を滑り落ちようとしてるプリンに一瞬……いや刹那で近づき、素早く持ってる奴から箱を奪いとって、落ちる前にバランスをとる。謎に一回転とかしてバランスとったが、早すぎて他の皆にはきっとみられてないから、お嬢様としても大丈夫だったはずだ。


「お前たちプリンは無事か!!」

「それは……あれ?」


 プリンの箱を持ってきてた人が困惑してる。それはそうだろう。なにせプリンの重さがなくなってるんだし、なのにプリンが床に散乱した様子はない。いったいどこに? ――と思うのは普通だ。


「大丈夫ですよ。プリンなら無事です」

「なぜ……」


 皆さん結構唖然としておられる。信じられないんだろう。まあ私がこのくらいできるってのはプリン伯爵ならわかるだろう。でも正体を明かしてない他の従業員たちはいったい私が何をしたのかわからないだろうからね。

 けど説明なんてやってる場合じゃない。なにせ何やら戦闘音が激しくなってきてる。このプリンをこのまま持ってるのも危ない。いつまた油断したときにさっきのような衝撃が来るかわからないからだ。

 となればさっさと食べるに限る。腹の中にはいってしまえば、もう誰も私のこのプリンを奪い取ることはできないからだ。


「そういうことはいいでしょう。大切なのはプリンはこの通り無事という事です。うむうむさすがはプリン伯爵、自信があるだけあってとても凝ってますね」


 六つのプリン表面にはクリームとデザートの果肉がいっぱいだった。それにこのプリン、何層にもなってる。まさか層ごとに味が変わるとか? なんとも楽しみである。

 

「まずは一つ目を食べてみましょう」


 そう私は言って手を差し出す。それに皆さんぽかんとしてる。


「私に素手で食べろというのですか?」

「すみません!」


 プリン伯爵が私の言葉にはハッとなったみたいだ。そうしてスプーンを渡された私は、一度プリンをつついてそのプルプル具合を確かめてから口にプリンを運んだ。

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