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H308

「代表……一体」

「何も言うな。早くお前たちもこの方にひざまずくのだ」


 プリン伯爵がいきなり土下座くらいまで頭を下げたからか、従業員の皆さんも戸惑ってる。そしてプリン伯爵は他の者達にもそれを求めける。まあ当然ではあるね。なにせ私と彼等では身分が違う。大体エデンの玉座にいると、来た奴らは平身低頭が当たり前だからね。

 私と同じ空間にいて、同じ空気を吸えるという幸運は何物にも代えがたいのだ。なにせある意味、私が吐いた息を吸ってるかもしれないんだよ? お金とれるよね。


 まあ私はそんな卑しくはないが。


「大丈夫ですよ。私は今はただの女の子ですからね」

「左様ですか。寛大な心使い感謝します」


 そういってプリン伯爵も顔を上げた。まああのままだとまわりにも注目されるからね。


「さて、さっきは大分頭に血が上ってたみたいですが、どうしたのです? こんな状況だから不安になるのも仕方ないですが、貴族なら怒鳴るよりも民たちを励ましたほうがいいのでは?」


 私はまずはもっともらしい事をいう事にした。そうやって弱みを突いていって、プリン銘菓の新作にありつくのだ。なにせ貴族は平民を守る義務がある。

 ノブリスオブリージュである。この人はそこら辺、ちゃんとわかってる人だと思うが。従業員の人たちもにも慕われてるし……もしかしたら自分の庇護下以外はどうでもいいのかもしれないけど。


「お恥ずかしいところ……ぐほごほっ!!」


 ヤバいな。私の正体をしって冷や汗がやばいことになってる。うーんたぶん私が天上人過ぎて、伯爵程度の地位のプリン伯爵はとてつもないプレッシャーを感じてるみたいだ。

 まあ私は王族よりも上の立場にいるからね。一応カタヤと私は外交上同じ立場となってるが、人種がエデンの保護を受けてるのは確かだし、技術だってエデンから地上に流れる構造である。

 子供でもエデンの方が実質上だと理解してる。よっぽどの馬鹿じゃなければね。


「そんなに緊張しなくてもいいですよ? 何か理由があったんでしょう?」

「はい、弁明をさせていただくなら、今日はお菓子の品評会がありまして。この人種の国より集まった選りすぐりの職人たちが新作を披露するのです。そしてそれで認められれば――」

「店としての箔がつくということですか」

「はい、それに私たちは今日の為にずっと準備をしてて、私だけではありません! ここにいる者たちが皆頑張ってくれたのです! ですから……あのような事を……努力を……無駄にしたくなかったのです」

「「「代表!!」」」

「どうか……この者たちに罪はありません。罰するのならどうか私だけを……」


 なんか彼らはとっても盛り上がってる。自身の身を犠牲にして従業員を守ろうとする図は確かに美しいのかもしれないが……あいにくと私はその新作を食べたいだけなんだよな~。


(新作ってわかったしさっさと献上してもらおう)


 私は盛り上がってる彼等なんてほぼ見てなくて、そのスイーツが入ってるであろう箱だけ見てた。

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