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H303

「うーんどうしようか?」


 私は今、このアナハイムの観光名所であるタワーにいる。人類初の高層タワーである。今までは高い場所は権力者の物でその景色を庶民が拝むには山に登るとかしなくちゃダメだった。

 けど、このタワーに上がれば、誰だってあら不思議……権力者になった気分になれるのだ。


(まあそんな理由で人気な訳じゃないと思うけど……)


 そんな事を考えてるのは私だけかもしれない。普通に皆、このタワーから見える景色を楽しんでたみたいだし。けどそれもちょっと前までだ。さっき放送で謎の襲撃者がタワーに危害を及ぼしてるとか言って避難勧告が出た。

 まあだからさっさと避難したい訳だけど……戦闘が下で起こってるから

上にいる私たちは動けないっていうね。さっきからドカバカと下で派手におっぱじめてるから、このタワーも揺れてる。それに伴って、中では悲鳴ならなんやらが響いてる。


 まあ高いからね。こんなのが崩れたら思うと、死を覚悟するしかないだろう。せっかく楽しい気分でここにきてたハズなのに、その気持ちに水を掛けられた気分だろう。

 私もちょっとむかむかだよ。別に私はここに景色を見に来た訳じゃない。なにせ私は普段エデンにいるんだよ? 空中に鎮座してる大地を統べる私的にはこんなタワーの景色で「権力」を語るなと言いたい所だ。まあ語ってる奴は私以外にいないんだが……

 なら何故こんな所にいたかというと、ただなんとなくアナハイムを回ってただけ。たまたまだ。なんか名物のデザートがあるとか聞いたからきてみたのだ。

 それはこのタワーをモチーフにしたもので、なかなかおいしかった訳だけど……その気分を害すような奴には万死を与えたいところだ。まあけど、今は私はお忍びなのだ。下手に動いても……ね。てかさっきから――


「私はプリン伯爵だぞ! こんな平民共と同じところにいられるか! さっさともっと安全な場所に案内せんか! 私がどれだけこの都市にかかわってるかわかってるのか!! 私の命は貴様等よりも重いんだぞ!!」


 うわーだよ。こんなテンプレな貴族がまだいたの? と私はある意味天然記念物を見るような目でそのでっぷりと太った貴族を見てた。


 だらしない体に、身に着けた宝石はアナハイムで買ったのかな? やけにじゃらじゃらつけてやがる。一つ一つはいい物なのに、それだけ付けたら逆効果だよ。

 自分が金持ちだって自慢したい馬鹿なんだろう。全く、カタヤもああいうアホを処分しときなさいよ――と思う。人種の国も王様が変わったごたごたと世界の覇権を握る戦いが絶賛繰り広げられてるからね。早く地盤を固めるために貴族という制度を廃止しなかった弊害だよね。あんな見るからに無能そうな奴がまだ幅を利かせてるんだから。


 私はこれ以上私の耳を汚すようなら、カタヤには悪いけどぶっ殺そう……と思ってた。

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