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H295

「ふんふーん」


 私の前には瑞々しい果物をグラスにぶっ刺したグレープフルーツ的なジュースとそしてデザートとして生クリームでコーティングされたケーキがある。中の層には桃のような果肉が入ってて、更に上にも果肉がドーンとある。


 ふわふわの生地をフォークで切り取り、そして口に運ぶと幸せの味が広がっていく。幸せの味って何かって? それはほら……幸せの味だよ! 

 まあ単純においしいという事だ。おいしくて甘くて、生きてるって感じの味だ。果物はもちろんのみずみずしさだね。肉厚の果肉が触感を維持したまま、ちゃんと肉厚に入ってる。


 けど私のような美少女の口にも入れやすいように絶妙な大きさに切ってある。インパクトだけを優先にしたような商品では、こうはいかないだろう。

 なにせ私の口は小さいのだ。おもいっきり口を開けて食べる……なんてことをしてもどうやら私の口はなかなかに小さいらしい。まあそもそもがおもいっきり口を開けるって行為自体がはしたないから、そうそうやることはないんだけどね。


 ハンバーガーとかならいいだろうけど、これはケーキでここはおしゃれなカフェである。女の子がケーキをがっつくように食べる場所ではない。私は紅茶を口に含み、口の中をリセットしつつ、外の様子を伺う。


 ここはテラス席だからね。風を感じつつ、優雅にお茶ができるのだ。


「今日もアナハイムは平和だね」


 戦闘の影響なんてないに等しい。アナハイムに潜入してるらしい種もそうだが、今は実は世界の命運をめぐって戦ってるんだよ? それなのに、この都市ではいつも通りの日常が回っている。それはとてもすごい事なのだ。


 まあ戦闘が長引けばこのケーキとかだってどうなるかはわかんない。けど、それこそ半年……いや一年単位でのことだ。数か月、ましてや数日で影響が出るようなやわな経済基盤はしてない。それだけ人種はたくましいのだ。


 確かに人種は弱いが、人種の強みは体の頑強さや、マナとの親和度とかではない。人種には適応力があり、そしてどんなことにも対処する知恵があるのだ。

 だからこそ、最弱種とののしられながらも、ここまで生きてきた。この世界は弱肉強食だ。本当なら、最弱と言われてる人種がここまで生きてるなんてことがおかしい筈だ。


 事実、世界の歴史ではたくさんの種が滅んだりしてる。けど、人種は今日まで滅んではない。それこそが人の強みではないだろうか? 相手にされなかっただけ――そんな風にいう奴らもいるというか、大半の見方がそうだと思うけど……きっとそれだけではない。


 それを世界に示してあげようじゃない。人種が世界の頂点にたって、全ての種を見返すのだ。それはとても、気持ちいいことだと思う。


(みんなガンバー)


 私は優雅にお茶をしながらそんな事を思う。

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