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H290

「旨い旨い!」


 そんな声を出しながら俺たちはこれも敵情視察だ――という理論の元、いろんな店に入ってはそこの物を拝借してた。食べ物屋なら、勿論出来立ての食べ物を。服やアクセサリーなら、ちょろっとそれを借りてみる。なに大丈夫。借りてるだけだ。ちゃんと返す……気だけはある。俺以外はないかもしれないが。


 面白うそうなのは、家電屋だった。色々と魔力と科学が融合した生活における便利アイテムが販売されてる。それにそれは地上から五階建てくらいはある大きな建物の中にフロアごとにテーマがあってみるものを楽しませることも忘れてない。それに大きな映像を映す機械には常に何らかの映像が映っててそれを見た仲間たちが――


「なんだこれは?」

「この中に人種がいるぞ? 封印されてるのか?」

「なんとも惨たらしい事を……見世物になってるだぞ」


 とか言ってた。いや、俺も原理までは知らないが、ライザップでもこの手の研究があったのは知ってる。なにせ俺は貴族だったんだ。今やこうやって他国の物を人知れず盗み食ってるような奴に成り下がってるが……いや一応王となってるから、立場的には上に上がってはいる。決して下がってはない。

 だが今のオウラムがあの時のライザップと比べてどうかというと……文明的とはまだまだと言うのが現状だ。それに比べてアナハイムはどうかというと……はっきり言ってレベルが何段階も違うと言わざるえない。確かに戦闘をしたら負けるつもりなどない。人種は最弱だ。それは変わりようがない事実だろう。

 だが、ふとその生活を見れば、自分達とは雲泥の差があるといえる。俺たちはいまだに森の恵みに頼って生活をしてる。風呂とかだって、大半の物は川で体をふくとか、そもそもがそんな習慣ない奴のほうが多い。

 まあそいういう種の場合は体表の汚れ事剥がれ落ちたりして別に汚い訳ではない。ちゃんと必要ないように進化してるだけだ。


 でも食事一つとっても、アナハイムはそれこそ多種多様な食事であふれてる。オウラムが町部分ではそれなりにライザップであったような料理を再現しようと頑張ってるが……種族ごとで集まってる所ではそういう文化は起きない。

 そもそもがそこまで食事にこだわってなど他の種族はないのだ。ただマナがあればたいていの種は生きていける。だから食事って概念自体が希薄だといっていい。

 必要なエネルギーは大気中のマナから常に供給されてるのだから。


(でも、それは危険だ)


 それはそうだろう。なにせこの世界のマナ自体が敵の手中にある。ラーゼという主敵の手中に。それはこの世界の種族の大半の食事が奴に握られてるといっても過言ではない。それはとても危険だ。


(だからなんとしても世界樹を奴から取り戻さないと……)

「ラジエル様、これを見てください!」

「うおおーなんだそれは!?」


 ――というのに、俺たちは見たこともない家電というのにめっちゃ興奮してた。いや、これも敵情視察だから!

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