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β10

「私が生徒会にですか? なんで……」

「君は類稀なる才能を持ってるだろう?」

 

 そう言いつつ、肉を突いてる赤髪の人。さっきからの会話を聞いてた限りではこの人が一番偉いみたい。だからこそ多分私に話しかけてきてるんだろう。

 

「その力はもう皆にバレてる。色々と君を狙う者達も多いはずだ」

「あなた達もですか?」

「はは、そうだな」


 失礼な事をあえて言ったけど、どうやら失礼とは思われなかったらしい。てか狙ってるんだ。私の力は実際は私自身の力じゃないんだけど……それを知ったらこの人達は……いや、私に群がってる人達はどうするんだろうか? それが怖い。私は必要でありたいんだ。だから時に頼まれて……くらいなら良いんだけど、特定の誰かと一緒にってのは不味い気もする。

 生徒会に入るってことは、この人達と長い時間一緒にいるって事だよね。私の底なしの魔力とか見られると疑われるかも……そもそもが人種は魔力が少ないのに。

 

「けど、実際生徒会に入るのが一番安全かつ、将来にも役に立つと思うよ。そこら辺どう考えてるのかな?」


 将来? 安全とかはよくわからないが、将来は誰からも求められる人になりたいと思ってる。ここを卒業したら、聖女教をもっと広めて、沢山の人を救う予定だ。勿論ラーゼの傍でね。

 

「私は……」


 私は開いた口を閉じる。それを言う必要ある? と思ったからだ。だって初対面だよ。夢とかってもっと親しい間柄で言い合うものじゃない? しらないけどさ。

 

「将来に役立つってなんですか?」


 とりあえずなんで生徒会に入る事が何故に将来に役立つのか聞いてみる。

 

「それはまあ我々が言うのもなんだが、この学園の生徒会には箔があるからだ。成績上位者や、貴族の中でも特に位の高いものが所属してる」

「え〰」

「珍しい反応だねそれ」


 なにやら私は彼の期待を裏切ってしまったらしい。まあ確かに普通なら、憧れとかを抱くものなんだと思う。実際周りの人達との眼差しはそんな感じだし。けど私はね……偉いやつには碌なやつがいないって先入観があるんだよね。今までの経験上そうだし、ここでもやっぱり貴族を気取ってる豚が真っ先に私のパンツを奪っていった。

 やっぱり偉いやつに獣人も人種も無いんだなって結論に達してるところだよ。

 

「ごめんなさい、私別の国から来たので……」

「ああ、そういえば君はファイラルの……そうだね。すまない。けど、だからこそだよ。この国での地盤がない君は生徒会に入るべきだ」


 妙に力説してくる彼。なんかうざったいな。確かにかっこいいから、悪い気はしないけど……イマイチピンと来ないんだよね。なかん劣化カタヤさんって感じ。ごめんね。

 

「ふふ、あんまり手応えなさそうですね」

「確かに、そのようだ」

「では私が引き継ぎましょう」


 そう言って銀髪の美人とそんなやりとりしてる。そして彼女がこっちを見てきた。

 

「不甲斐ない会長でごめんなさい。けど彼が言ったことはその通りなの。この学園はこの国を支えていく紳士・淑女が集まってます。そしてなかでも生徒会に揃うのは、この国を支える予定の面々です」


 自分で言っちゃうんだねこの人。なんか深窓の令嬢みたいな見た目なのに、茶目っ気あるよね。

 

「ファイラルの領主もこことは違う大陸の人なのでしょう? それはつまり、貴族社会へのコネがないということです。それはとても不利な事。ですが、キララ様が生徒会に入り、私達と活動をなされば、その噂はここの生徒たちによってそれぞれの貴族家へと流される事でしょう。生徒会の仕事は生徒のためとなることが常です。きっと皆さんと仲良くなれます。

 それはきっと役に立つはずです。それに僭越ながら、私達も少しばかりの協力はできるかと」

 

 そう言って微笑む彼女はとても美しかった。女の子同士なのに思わずどきりとしちゃうくらいだ。私は横に座ってるアニーさんに視線を向ける。すると彼女は私に耳打ちしてきた。

 

「生徒会の皆様はこの国の重要人物ばかりですから、きっと将来に役に立ちますよ。会長であるオルレイン様はこの国の第三王子ですし、副会長であるティアラ様は公爵家の方です。これ以上無いコネとなりますよ」


 ゴクリと……私は唾を飲み込んだ。なるほど、それは美味しいかもしれない。私、あんまりラーゼの役にまだ立てないけど、こういう事なら、アイツの役に立てるかも。けどこんな理由で入るのってどうなんだろうとも思う。すると銀髪の美少女ティアラ様がニコッと笑ってこういった。

 

「けど本当はそんなのどうでもいいの。私は、貴女とお友達になりたい」


 ぐさっと心に何かが刺さった気がした。だってだって天使の笑顔でそんなこと言うんだよ。私の打算的な心が痛むよ。だからこんな気持では駄目だと思った。

 

「か……考える時間をください」


 それが私が今できる精一杯の返答だった。けどそれを皆さん心よく承諾してくれた。そうして、色々と疲れた昼休みはようやく終わった。

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