H276
俺たちは必死に銃を撃った。響く銃声が耳をおかしくして、そしてその巨大な腕が下りて来る姿をゆっくりと見せてる。
「……い」
「……い!」
「おい!! もう大丈夫だ!!」
はっ! っとした。無我夢中で撃ってた。どうやら近くの軍の正規の人が俺たちの肩を揺らしてくれたみたいだ。銃口をおろす。そして見上げると、地中から出てきた大きな種が氷漬けになっていた。
「やった……」
俺は震えていた。初めて敵を倒したから……だろうか? わからない。でも俺たちは戦える。それを実感したのかもしれない。
ビキッ――
「げっ!? まだ生きてますよ!」
「わかってるさ、見てろ学生」
俺たちと一緒の車両にいた人だろうか? 俺たちが学生だとわかってるのは、同じ車両にいた人たちだけだろう。なにせ今はもう同じ服装と装備してるんだ。そうじゃないと俺たちが学生だとはわからないはずだ。
周囲を見ると、何人かが銃を構えてる。でもその銃がでかい。しかも銃事態に支えがあるような大型の奴だ。なるほど、あれなら確かに貫けそうだ。
「上からくるぞ!!」
そんな声に空を見る。するとそこには腕が羽になってる種がみえた。そいつらが風を巻き起こし、俺たちの周囲に吹き荒れる。
「これじゃあ狙いが……」
この地中から出てきた種はめっちゃ硬い。更にその巨体を止めるだけの氷が外側を覆ってるから、更に強力な威力が必要だろう。近いとはいえ、なるべくなら、弱点を突きたいはず。なのにこの風では狙いを定めるのが難しい。
「あれを落とせ!!」
俺はその声で銃口を上にむける。そして撃つが――風のせいで狙いがやっぱりずれる。それに奴等も動いてるし、更に複雑で強力な風で、この中であれに充てるは無理じゃないか? でも弱気な事なんていえない。飛んでる種だって、銃弾の軌道を意図的に変えてるわけじゃなく、勝手に変わってるだけだ。ならこの数で撃ちまくれば、どれかが当たるかもしれない。
エネルギーパックが有限な中、そんな無駄撃ちをやっていいのかは謎だが……
「反射の陣を奴らを囲むように築け!!」
反射の陣? 一瞬なんだっけ? と思ったが、なるほど、思い出した。先に先輩方がそれを空に展開してるからな。同じようにまねをする。
空に浮いたる種の周りがやっぱり強力な気流で守られてるが、それ以外、案外全然違う方向ならちゃんと直進する。種に近いほうは先輩たちベテラン勢に任せて俺とマサシは漏れがないように、反射の陣を敷くことにした。
たくさんの魔方陣が、空を飛んでる種十体くらいを囲んだ。そして次にその反射の陣に反応する魔法を付与した銃撃を開始する。それによって、一度外から中へと通った銃弾は、陣を跳ね返り中で跳弾し続ける。これなら奴らだっていずれ――
確かに人種は弱い。肉体的に魔法適正的にも最弱だ。けど、俺たちは戦える。どんどんとこの戦場で興奮が増してる気がする。けど次の瞬間、マサシの血を流して倒れたのが見えた。




