H274
「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」
列車が止まり、側面の壁が上の方へと開いて外の景色が見えてくる。でもまずは匂いが変わったことに気づいた。すぐに思ったのはすごく煙いってことだ。何かが燃えてるような匂いが強い。でもその中に別の匂いもあるとわかる。
はっきり言っていい匂いではない。寧ろむせかえるような……嫌な匂いだ。
「マスクを装備しろ。向こうの種には植物系もいる。胞子を吸い込むと内側から殺されるぞ!!」
そんなことを強面のおっさん……というか階級的に結構上そうな人が言ってる。俺たちは慌ててマスクをつけた。マスクは機械的でコンパクトさを図られてる。顔から異様に飛び出したりなんかしないし、なんか顔に張り付く感じでくっつくから、ずれるとか気にする必要もないみたいだ。
授業で使ってた奴は普通に頭の後ろに紐を通して固定する奴だったからな。あれはいちいちずれてうざかったがこれはその手間がなさそうだ。とりあえず軍服の上にホルダーを背負い、それには沢山の四角いエネルギーパックを装着する。これは銃の交換用エネルギーだ。
これがなくなったら、銃から球を放つことができなくなる。つまりは死活問題なわけで、沢山持っていく事が重要だ。だが持ちすぎて動きが緩慢になったら危ないかもしれない。その証拠なのか、他の人たちには俺たち程にはエネルギーパックをもってはないようにみえる。
列車の中は薄暗かったが、外は太陽が燦燦と降り注いでいる。森が燃えてるからなのか、熱気がここまで伝わってくる。普通なら列車のドアなんてそんなに大きくないが、この列車は側面が一気に開いてる。
だからそこから俺たちは外へと出る。実際ここにどうやったら残れるかって外の状況を見て考えた。けど……
「いけいけいけいけええええ!!」
っていう強面のおっさんの声で俺たちは尻をけられるようにして外に追い出された。
「いで!」
段差に躓いて着地に失敗する。他の人たちはすぐさま列車の前方へと走り出してる。そしてすぐさま銃声が近くから響く。他にもやっぱりたくさんの人たちがいたのか色々と展開してるのが見える。
「おい、急ぐぞ!」
そういってマサシが手を差し伸べて来る。俺はそれをとって、同じ車両の人たちの後を追う。けどその時だ。いきなり影が落ちたと思った。「なんだ?」とか思って視線を向けた瞬間、ドガン!とすぐ近くで爆発音が響いて、音と空気の振動で地面に這いつくばることになった。
(ななな、なんなんだよこれ……)
もう疑いようがない。こんなの信じたくなかったが……間違いなくここは戦場だ。




