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H258

「夜明けまで……いや、できる限り、アルス・パレスが健在だとばれたくはないが……」


 自分はそういいつつ、眼下の状況に目を凝らす。まあ実際下を見てるわけではない。複数の状況を中央の台座にこの森の全景とそして部隊の位置、そして敵の位置が映されてるんだ。これも新たに入ってくれたパウジーフラワー達のおかげだ。

 彼らは花を操る。別に特別に戦闘力が高いわけじゃないし、そもそも戦いを望む種でもない。でも……その感知能力は特出してるといっていい。それに彼らはとても自然なのだ。自然と自然に溶け込むことができる。

 彼らが本当に擬態したら気づくことはできない。なにせただそこにある花でしかないんだから。彼らのおかげで、敵の位置を簡単に把握することができる。守りは万全といっていい。それでもここに残していける戦力は少ないから、敵の本隊が到着したらかなり厳しい戦いになるのは予想できる。


「だがだからこそ、こちらにはとってはそれを利用する」


 なるべく今の段階でこの森がとても攻略しにくい場所だと人種やラーゼに思わせることが大事だ。そうなると、奴らはさらに戦力を投入するだろう。そうなれば、世界樹の守りは手薄になる。そして俺たちは中と外……両方から世界樹を攻略できる。姫という八百万の存在がいるからだ。


 そして源泉であるあの山。俺たちにはいろいろと条件がそろってる。勝てない戦いではない……と思ってる。


「敵の半数の壊滅を確認した。まだまだいけるな」


 ここから指示を飛ばしてる木の出来損ない……といったら悪いが、小さくちょっと気持ち悪い木片のような存在が台座にちょこんと座ってる。

 そいつは自身では移動もできず、力もほぼないような存在だ。ただ、死なないという存在で、これまでの世界のすべてを見てきた……いわば種というよりも精霊とかそういうたぐいの存在。 彼の名前は『ポプビリア』悠久を生きる木の精だ。


 ポプビリアにはほぼなんの力もないが、だが彼はとても頭がいい。というか見てる世界が違うのか、戦略を考えさせたら彼の右に出るものはいない。

 地の利を得、そして情報を整合して俯瞰できる存在。今の所、この戦場でこちらに負ける要素はない。


「下がらずに更に奥へ? 何を狙ってる?」


 ポプビリアが甲高い声でそんなことをつぶやいてる。確かにここまで大きな被害を出したら、普通は引くだろう。まるで命を捨てるような突貫を人種の先遣部隊はやってる。

 自分なら奴らはやけくそになったんじゃ? とか安易に思うが、ポプビリアはそんな風に結論を出すことはない。彼にとったらすべての行動には意味があるらしい。

 だからそれを考えてさらにその先を見据えて対策をとっていく――それが彼の勝利の方程式。


「よし、奥に入ってこうようとしてる奴等を誘導する。こちらに有利な場所で各個撃破するのだ。ポイントはそうだな……」


 何やらポプビリアなりの結論が出たらしい。


「王よ一応、落ちたアルス・パレスの情報は見せつけたほうがいいのだろう?」

「ああそうだな」

「ならその役割はこの部隊に請け負ってもらおう」


 一つの人種の部隊にあたりをつけたポプビリア。彼らは道化に選ばれたらしい。せいぜい踊ってくれることを期待しよう。

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