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H257

「順調だな」


 この森は我等の領域だ。森に入ってきた人種の軍隊をこちらは最小限の労力で破壊して行ってる。あのダンプは隠密性を突き詰めてるようだが……だがこちらには自然とそれを見破れる種族がいる。

 確かに自分たちオウラムは負け犬たちの集まりかも知れない。だがそれでも、すべての者たちが負けた気でいるわけじゃない。それに今は勢いがある。

 世界を獲ろうとしてたアクトパラスとゼンマイをしりぞけ、そして本体でなかったといっても、ラーゼも倒した。その勢いに、皆は乗ってる。

 まあ本音はかなりオウラムの地が荒らされたからってのもある。もしも人種のあの土地が奪えるとなれば、とても魅力的だ。平たく、豊かな大地。そしてそれを支える世界樹。世界樹のある地を人種が抑えるなんて長いこの星の歴史でもなかっただろう。

 むしろ人種は世界樹から離れて……離れて……離れた所しか生きる場所はなかったはずだ。なにせ世界樹の近くになればなるほどに、土地は豊かになる。マナが豊富だからだ。一番格として下の人種が世界樹に近寄るなんてできるはずもない。


 だったはずなのに、どんな運命の因果か……世界樹を今や人種が取ってる。それをよく思ってない種はたくさんいる。特にオウラムには多いだろう。


 今回の目的は、森から人種の軍隊を追い出すことではない。自分たちの場所を守る……そんな段階にはもうない。攻めなければ、食われるだけ。大きな戦いの流れの中で、濁流にのまれてしまうだけになるだろう。

 だから動くしかない。


「姫の様子は?」

「あれのおかげで、準備は順調という事です」

「確かにラーゼを殺すには世界樹から切り離す必要がある。だが、魔王もいるからな」

「魔王は本質的に世界の敵です。奴らと完全に手をとりあってるわけではないですし、世界樹の力を本当なら独占したいだろうということでしたよ?」

「それはそうなんだが……今の魔王はかなり変わってると聞くが……」

「それでも魔王の宿命からは逃れられないと、姫もセーファ様も言ってましたよ」

「ならいいがな」


 確かにこれまではそうだったのかもしれない。でも、世界は大きく変わってる。それにラーゼはこの世界の理さえも書き換えた。実際姫からもたらされたその情報はにわかにはしんじられなかったが、ティルがその身をもって証明してくれた。


「それではできうる限りこの森に俺たちの存在の偽装を」

『任せとけ。油断するなよ』


 通信越しにそういうのはセーファだ。彼女はこの地で一番の力を発揮できる。だからこそ、最大戦力の一つを置いていく。俺たちが目指すは人種の王都。奴らの戦力と入れ替わりに俺たちはそこを強襲する!!

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