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β7

「キララさん、お食事に行きましょう」

「うん!」


 そう言って私は誘ってくれたその人と共に教室を後にする。教室を出ると、ザワッとした感じと共に、バサッと目の前に花束が向けられた。そこには長身の男子生徒がこっちを見て笑ってる。

 

「どうぞキララ嬢。まあ貴女の美しさに敵いませんが」

(はあー)


 私は心のなかでため息を着く。これで今日何回目だろうか? はっきりいってウザい。朝から休み時間の度にこんな事が起こる。それもこれも初日に目立ちすぎたのが原因だ。まあここまでに成ったのはアレだけのせいじゃないけどね。重要な場面は色々とあった。例えば薬学の講義とかね。もう講義は結構進んで、私が参加した時には、それぞれが一つの苗で植物を育ててた。

 ネジマキ博士が開発したとかいう、マナをあげる事で成長する植物らしい。しかもあげる者のマナで色々と成長の形が変わるらしい。そして花を咲かせた後は……あげたマナを凝縮して自分専用の魔光石を生成してくれる。それの何の意味があるかだって? そうやって出来た魔光石は特別製で、自然界には無いものらしい。だからそれを加工して武器や防具に組み込めば自分専用の相性の良い武具が出来るというわけだ。

 しかも普通の魔光石は使い切りだけど、この花が作り出す魔光石は自分自身でマナを込めれば何度でも使えるのである。これはとても凄い事だ。だから薬学のこの授業は一年時、誰もが履修するのだそう。

 

 だから当然私も参加した。そして皆から遅ればせながらも育て始めた訳だけど……その時間で私の魔光石は完成してしまった。所要時間一時間と十分位。いや、説明とか有ったし、やっぱり一時間かな? てか普通は一時間もぶっ続けて魔力を注ぐなんてできないらしいけどね。でも私には出来る。何故ならそれは私自身の力では無いからだ。

 幾ら使っても私疲れないしね。そしてそれはラーゼも同じだ。まあだからこそ気兼ねなく力を使いまくれるというものだ。だって私のせいでアイツが辛く成ってたら嫌だしね。一応アイツは恩人なんだ。

 

 私がこうやって学校に通えてるのも、普通の女の子として生きてられるのも、そして夢を持てたのも全てはアイツが私を救ってくれたからだ。だから成るべくアイツの助けにはなりたい。私が魔法を覚えるのもアイツは直接的には力が使えないからだ。アイツは超強い力を持ってる。けど、強すぎてアイツの身体事態が耐えられない。

 ピアスを通してその力を部下たちに分けてるけど、私以外の人達はその微々たる力をただ受け取るしか出来ない。けど私は、ラーゼの力を自由に扱える。だからあいつには私が必要なのだ。誰からも私は必要とされたい。だからこの眼の前の花束を差し出してる人達を無下にはしない。そのせいで誰も離れていかないが、離れられるのは嫌なので、私はそれでいい。

 けど私が一番離れたくないのはラーゼだ。その為にも私は必死だ。勉強だって頑張ってる。相変わらず、実習系以外はサッパリなんだけど、それでも日々猛勉強の日々だ。

 

「おい、お前迷惑だろ。キララは腹が減ってんだ!」


 不思議そうに辺りを見回す花を持つその人。周りにはいっぱい人が居るが、視線を振られても皆さん横に頭を振るしかない。それはそうだね。だって今のはそこらの誰かの言葉じゃない。それは私の肩にいるヌイグルミの言葉だ。

 

「パペット?」

「俺はそんな自立できない人形じゃねえ!! 俺はキララの守護精霊だ!」


 この人形は私が薬学の授業でできた私製の魔光石をなんとなくヌイグルミの中に入れて見たら生まれた。口うるさいけど、中々に使えそうだからそのままにしてる。

 

「守護精霊? 聞いたことないが……とにかく私は真剣なのだ。君に邪魔されるいわれはない! キララ嬢! 私の気持ちを受け取ってくれ!!」

「だからそんな気はねえーて言ってんだろうが!!」


 私の守護精霊ことヌイグルミの『ペル』がその小さな手を翳して彼を吹き飛ばす。彼は悲鳴と共に、窓と共に消えていった。どうやらペルも朝から今まで我慢の限界に来てたようだ。ご愁傷様。私はとりあえず届くかどうか分からない「ごめんなさい」を紡いで印象を上げておく。そして怖気づいた男子達を残して、私はさっきから待っててくれた女生徒を連れ立って食堂へとあるき出した。

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