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H250

「王の剣とはそれほどに危険な代物なんですか?」


 キララを安心させつつ、自分はラーゼにそんな質問をぶつける。ラーゼがこんなに一つの物を恐れるなんてことは今までなかったと思う。だから興味がわいたんだろう。

 それにその名前にも引っかかるところはあるからな。なにせ今は自分も王をやってる。だからだろうか、ちょっとした対抗意識みたいなものがあるのかもしれない。

 王の剣と冠してる剣がなぜに自分のところにないのか……と。まあ今でも「王」と呼ばれることに慣れてない自分にその剣は早いとは思うけど。やっぱり自他ともに認められる王の剣とか、結構荷が重いというか……それに関していうと、ぞれを持ち続けてるラジエルとかいう獣人はすごいと思う。


 なにせ自分はこの王という肩書が重くてならない。人種には希望を与える存在が必要だ――とかなんとか、説得されたが、できうることなら、こんな重圧は一刻も早くおろしたいくらいだからな。自分は全ての人を守りたいとか思ってた訳じゃないし……ただこの手で守れる範囲を守れたらそれでよかった。

 でも今はそんなことを言える立場ではない。自分のこの双肩には人種すべての命がのっかっている。それを思うと時々押しつぶされそうになる。


「危険ね。なにせアクトパラスとゼンマイもその剣にやられたし、私だって本体だったとしても、あの剣の攻撃はたぶん防げない」


 その言葉をラーゼが放ったと同時に、皆がざわついた。なにせみんなラーゼの硬さはしってる。その肌がカチンコチン……ってわけじゃない。ラーゼの肌はその見た目通り、めっちゃ柔らかい……らしい。らしいというのは自分がそこまで触れたことないからだ。

 自分が知ってる女性の感触はキララとミリアくらいだからな。ラーゼだって、女性らしい柔らかな肌をしてるのは間違いない。けど、硬い。攻撃を通さないって意味での硬さだ。


 ラーゼはその圧倒的ともいえるマナを常に体の中にもってる。それ故にその体内のマナによって、自身の体を強固に保ってるんだ。だからこんなに華奢なのに、アンティカに踏まれたって彼女はつぶれることはない。


 そもそもが圧倒的ともいえるラーゼの防御を抜ける攻撃っていうのが、かなり限られてる。ここでもそうそうないぞ。だからこそ皆が驚いたんだ。大体ラーゼが勝手な行動をしてても大丈夫だと思ってるのはその防御力によるところが大きいからな。


 でもラーゼは今、その防御が簡単に抜かれたといっていた。それは恐ろしいことだろう。彼女を信奉する者たちにとっては特に……


「なるほど……確かに最優先でそれは破壊しなくてはなりませんね」

「その通りですアンサンブルバルン様。そんな危険なものを野放しになんてできない。できうるのなら、ラーゼ様の脅威となる代物は俺自身が排除したいところだが……今回は貴殿に任せよう」


 そういって皆がこっちを見る。やめてー、めっちゃ責任重大だ。いや、人種や、いろいろな命運をかけた戦いだから、すべてが等しく重要ではある。けど……それでもラーゼというのは、何よりも優先しなければならない存在だと思ってる面々がここには多い。それは事実だ。


「善処します」


 自分はそういうしかなかった。

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